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その10

当協会の理事で,弓場貿易株式会社社長の弓場秋信氏による,すぐに役立つワンポイント貿易アドバイス!

その10

弓場秋信氏私のミャンマー(旧国名ビルマ)に対するイメージは、素顔の美しい国民、軍政を敷き民主化運動を弾圧する強面の政府、そして豊かな天然資源が眠る未知の魅力を持つ国である。
しかしそれは間接的な情報を元に出来上がったイメージで、自分の目で見て現状を把握したいとの思いでの初訪問であった。
首都ヤンゴンの郊外に位置し周囲を緑と湖に囲まれた宿泊先のホテルは、内部の設備、調度品もここがミャンマーかと思わせるほどの高級品で飾られていた。以前鹿児島に製材技術習得のために滞在していたソー君の案内で、ヤンゴン市内や工場そして郊外の村を訪ねた。庶民の生活は経済統計に表れる数字からの想像より裕福そうで、笑顔がすてきな人々であった。ソー君の話で興味を持つたのが、公務員の給与と為替の二重レートである。
警察官の月給は、平均的庶民の5日分の生活費相当である。後の不足分は警察官としての仕事をする中で稼ぐシステムとなっている。例えば、市民から泥棒が入ったとの連絡を受ければ、その現場に行くのに被害者から謝礼をもらい、捜査に当って謝礼をもらう言った具合である。役所に勤める職員も警察官と同じような給与で、役所に来た人に、必要書類を販売したり、用事を代行することで謝礼を頂く。これを俗に「袖の下」と呼ベるでしょうか。政府或いは国は、公務員に十分な給与を払えないので、公務員の地位と仕事を与えるので後は良しなにと言ったところでしょうか。
豊富な天然資源に恵まれながら外資の導入が進まない理由の一つに外国為替の二重レートがある。公定レートは、1USDが約6.4チャットで実勢レート(闇レート)は1USDが約900チャットと140倍の開きがある。例えば日本から1万ドル持つて行き銀行で両替すると6万4千チャットを貰うが、ミャンマー国内で使うときには、その価値は140分の1に激減するといった具合である。最近ではあまりにも格差があるのでその中間レートが存在しているようだ。
人口5000万、面積は日本の1.8倍そして豊富は資源を持つミャンマーは、今すぐのビジネスには不向きであるが近い将来、魅力あるパートナーとなるのでは。。。
(貿易ニュース鹿児島2003.7月号)

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