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その11

当協会の理事で,弓場貿易株式会社社長の弓場秋信氏による,すぐに役立つワンポイント貿易アドバイス!

その11

弓場秋信氏今回のワンポイントアドバイスは、直接貿易に関係ない話をします。とは言っても商談で訪問したある国での出来事です。

空港について入国管理官にパスポートを提示すると「千円、千円」と言い中々スタンプを押してくれない。ここで千円渡したら次の日本人も払わされると思い、私は知らない振りして待っていると相手が根負けして入国許可のスタンプを押した。入国後、商談先の島に向かうために再び飛行機に乗り、到着後ホテルに入ると警官が見えパスポートを持って警察署に来るようにとの事、理由を聞いても答えず従うしかない。警察署に着くと先ほど同じ飛行機でこの島に着いた外国人の姿が見える。理由が解らないまま部屋で待っていると別室に呼ばれ、来島の目的と誰に会いに来たかを尋ねられた。暫くすると警官が「あなたが会いに来た現地の人が先ほど見えたのでホテルに帰ってよい」との事。パスポートは、と問うと現地の人に渡すからホテルで待つようにと言われる。部屋に帰っても、外国では命より大事と言われるパスポートの行方が気になり落ち着かない。
そこに電話が鳴り受話器を取ると、この島に住んでいる日本人だと言う人が「あなたはパスポートを警察に取り上げられたでしょう、言葉もわからないだろうから私が変わりに取り返してあげよう。しかしそれにはお金が必要だ。貴方方は仕事でこの国を訪問したのにビジネスビザを持っていないのでお金で解決するしかない。普通は高いが私が200万円で交渉してあげよう」。何故彼がこの事を知っているのだろう、そして滞在先も。もしかして警察とぐるになっているのでは、と疑問を持ちながら「その必要はないです」と断り現地の人からの連絡を待った。3時間ほど待ったでしょうか、パスポートは警察から持ってきたので安心してとの電話が入った。私が「警察にいくら払ったのですか」と尋ねると彼は、「お金は払わなかった」と答えたが私がそんな筈は無い、そのお金は私が払いますので金額を言ってくださいと再度尋ねると2人分18万円でパスポートを返してもらったとの事。
正当な手続きを経て入国するも、観光ビザで商談しようとしたとの言いがかりで、袖の下を第三者経由で要求され支払うことになった。次回から面倒でも現地の警察に隙を見せない為にビジネスビザを取得した。そして日本の中でも一緒ですが、現地に住んでいる日本人全てが善人ではないということである。
(貿易ニュース鹿児島2003.8月号掲載)

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