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その31

当協会の理事で,弓場貿易株式会社社長の弓場秋信氏による,すぐに役立つワンポイント貿易アドバイス!

その31

弓場秋信氏阪神大震災で神戸港が被害を受け港の使用が制限された時期、急場しのぎで地方港に貨物船が寄港するようになった。水深不足や貨物量の関係で、大型船は韓国釜山港に入港し小型コンテナ貨物船(フイダー船)での配船となった。地方港へのコンテナ船寄港は、貿易の振興に寄与し神戸港修復後も継続、拡大を続け現在では30数港が開港している。
九州管内では、北九州、博多、伊万里、長崎、熊本、八代、薩摩川内、志布志、日南、細島、大分そして4月1日に響灘と12港に定期コンテナ船が就航。貿易業者にとっては選択肢が広がり喜ばしい事である。そこで今回は何を基準に、数ある港の中で何処の港・航路を選択したら最も経済的かについて述べてみたい。
輸入の場合、輸出者からの見積りはFOB(海上運賃は輸入者払い)価格と、輸出者が想定する揚げ地数港の海上運賃を要求すべきでしょう。それはトータル経費(海上運賃、陸上トラック或いはコンテナの状態で運ぶ運賃)が、どの港が一番安いかを決める為に必要だからです。海上運賃だけを見ると九州内ではおそらく北九州や博多港が一番安いでしょうが、到着後の陸上運賃が如何ほどなのかで、使用する港を決めるべきである。また歴史の浅い港では、港の認知度を上げ貨物量を増やすべく、荷主に対し助成金を交付している所も有る。薩摩川内港はその一つで、新航路使用を躊躇する荷主の背中を押してくれる役割をしている。
港が決定したならば、海上運賃は輸出者が支払うC&Fにするか、輸入者払いのFOBで契約するかですが、輸出者の提示した海上運賃と、輸入者が船社代理店に尋ねた運賃の比較で決まるでしょう。但し同じ港に複数の船社が就航している時は、船社間で同一運賃とは限らないので、其々に見積もり依頼をすべきです。そして運賃に差異がある場合、その船社航路の内容を確かめてからの確定をお勧めします。運賃が安い場合は、寄港地が多く到着までに日数を要すケースも有ります。また寄港地で船の変更、すなわち積み替えが条件の場合も有るので確認が必要です。貨物の内容や納期を考慮し船社を選択しては。
輸出はC&Fで価格を提示する場合が普通である。当然ながら、輸送経費を低く抑える為にはどこの港を使えば良いか研究する事が、成約への決め手の一つになる。価格競争が厳しい中、経費の節減に向けての参考になれば幸いです。
(貿易ニュース鹿児島2005.4月号掲載)

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