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その32

当協会の理事で,弓場貿易株式会社社長の弓場秋信氏による,すぐに役立つワンポイント貿易アドバイス!

その32

弓場秋信氏右肩上りで拡大していた中国との取引が、中国内での反日デモや日本製品不買運動などを前に不透明観が拡がっている。この騒動は一時的で早晩収束に向かうと願望を込めて思うが、以前この項で「中国プラスワン」について述べた様にリスク回避策を常に頭に入れておくべきでしょう。
今回は輸入関税について述べてみたい。日本は先進工業国で貿易収支も大幅な黒字国ながら、国内産業保護育成の観点から輸入関税ゼロの完全自由化にしている訳ではない。動植物防疫面での規制品目を除く輸入量制限品目は、農水産関連商品が最も多く次に中小企業が手がける産地形成型商品である。輸入量制限には、IQと呼ばれる輸入割当制度と関税を課す方法が取られている。IQは、政府より割り当てられた数量枠を持つ業者だけが輸入可能で、IQ指定品目は農水産物が中心である。枠を持つ指定輸入業者だけの独壇場で一般の輸入業者にとっては羨望の的である。政府によるIQ数量枠と指定業者は毎年申請を受け付ける形で決められるが、通常は前年度実績がないと申請できない。言い換えれば既存の業者保護である。最近では新規参入者用に若干の枠が設けられたりしているので、通商広報を見るなり貿易協会に問い合わせてみては如何でしょうか。
次に一般輸入関税ですが、実行関税率表を見ると税率は、基本、協定、特恵、暫定の4種の税率欄がある。同一品目でもそれぞれの欄で税率が変わる場合がある。輸入者にとっては当然ながら関税は低く出来れば無税が好ましい。この4種の中で最も皆さんが興味を持ち注目するのは特恵関税でしょう。それは輸入する時期、国・地域、書類の有無で関税が変わるからです。特恵関税とは、開発途上の国作りに貢献する事を目的に、その国・地域からの輸入に対し通常決められた関税より安くしてその国経済活性化の手助けをする。従ってその税率が適用される国・地域は定められているから該当国からの輸入はこの制度を活用すべきです。但しそれには原産国を証明する書類の原本が必要です。また商品ごとに年間の輸入数量枠或いは適用期間が決められている場合が有るので輸入に当って事前のチェックを怠らないように。
輸入する商品が実行関税率の、どの商品分類に該当し関税はと迷ったときは事前に原料、製造工程、見本などの資料を税関に提出して事前審査を受けられることをお勧めします。
(貿易ニュース鹿児島2005.5月号掲載)

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