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その33

当協会の理事で,弓場貿易株式会社社長の弓場秋信氏による,すぐに役立つワンポイント貿易アドバイス!

その33

弓場秋信氏世界貿易の秩序維持・発展を目的として、140以上の国と地域が参加して世界貿易機関(WTO)が1995年に設立され、輸入自由化、関税、貿易管理制度などについて議論・取極め・勧告がなされてきた。最近では多国間交渉に変わり2国間による自由貿易協定(FTA)締結に目が向き、日本も多くの国と交渉を行っているので、それをビジネスチャンスとしてどう生かすか考えてみたい。
この協定は、貿易、投資・サービス、知的財産、人の移動、ビジネス環境制度など2国間に関する事項の自由化を目的としている。先進国同士では自由化が進んでいるので今は先進国と中進国の組み合わせによる話し合いが多い。日本の場合、相手国が求める自由化は農水産物と人材の受け入れであり、日本は鉱工業品の関税撤廃が最重要関心事項である。それらの要求は双方にとり高いハードルではあるが、段階的に開放が進むと思われる。
農水産物の日本への輸入で障害となっているのは、高関税と非関税障壁である。非関税障壁とは輸入関税率以外での障壁で、先月号で紹介したIQ制度、動植物検疫などが上げられる。農水産物の高関税は日本の一次産業保護と食料安保・自給率など種々の考え方があるが、日本が世界にどれだけの製品を輸出しているかを考えると早晩低関税あるいは無税へと移行するでしょう。IQ制度も農水産物の一部に適用されている高関税と同様な考え方で制度が維持されているが、既得権業者保護でしかない。過去、日本の保護政策は外圧により、あるいは外圧を利用する形で廃止された例がある。
現在日本のFTA締結国はメキシコそしてシンガポールが続いている。交渉中はマーレーシア、タイ、フイリピン、韓国、そして多くの国と締結に向け研究することで合意している。マスコミを通じて報道される会談内容や政府機関の広報を通じて交渉内容を入手し、日本がどの分野、商品、サービス、人材受け入れで門戸を開放するのか。また相手国が日本にどのようなメリットを与えるのか注視しながら早めの対策、仕掛けが新たなビジネスチャンスを生むと考える。
(貿易ニュース鹿児島2005.6月号掲載)

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