九州食品プロモーション2007 in バンコク開催! 貿易ニュース鹿児島 2007.4月号今回のレポートでは,2月21日に,タイの首都バンコクで開催された「九州食品プロモーション2007inバンコク」について,ご報告させていただく。この事業は,社団法人鹿児島県貿易協会と連携し,「かごしま海外ビジネスセンター」として,県内で海外ビジネス支援を行っている「独立行政法人日本貿易振興機構 ジェトロ鹿児島」など九州各県のジェトロセンター,および現地バンコクのジェトロ・バンコクセンターにより共催されたものである。九州各県のジェトロセンターが連携協力し,バンコクの食品バイヤーに「九州ブランド」をPRした。
九州一帯となってのPR
前回のレポートで報告させていただいたが,香港でも,今年度,数多くの物産展や商談会が開催された。しかし,その多くは各都道府県等による「単独開催」のそれがほとんどであった。事業の主催が県やその関係団体 等になるとやはりさまざまな事情や売り込む商品の思惑,開催時期調整の難しさ等があり,複数の県等が連携しての共同開催となると難しい。
他方で,商談会・物産展などにより,海外で,さまざまなプロモーションを行う場合(観光なども含めて),やはり国内とは事情が異なり,各県単独ではそのネームバリューなどに限界もあり,各県が連携し,また今回のように九州が一体となって売り込んだ方が,効果的ではないかと思われるのも,また事実であろう。 ジェトロとしても,今回のように九州の各センターが連携協力し共同開催するプロモーション(商談会)は初めての試みとのことであるが,さすがは各自治体に地方センターを配し,また現地バンコクにおいても,幅広いネットワークを有するジェトロならではの開催である。
今回は,21日にバンコク伊勢丹の正面にあるアノマホテルの会議室で開催された本「九州食品プロモーション」のほかに,ジェトロバンコクセンターによる現地タイ・バンコクの日本食品事情に関するブリーフィング(説明会)や現地バイヤーとの意見交換会,日系デパートやスーパーなどの視察などを含めた2月20日福岡発,同24日福岡着のミッションとして企画された。
私は,他業務の関係もあり,香港から2月20日にバンコクIN,同22日バンコクOUTの2泊3日で,21日に開催された九州食品プロモーションのみに参加し,事業の実施状況等を調査した。
ジェトロバンコクセンター所長が開会の挨拶 会場入り口では,九州観光のPRも。
九州各県から18社,本県から3社の参加
今回のプロモーションに参加した企業 等は九州全体で18社,福岡県3社,大分県 5社,長崎県1社,熊本県3社,宮崎県3社,そしてわが鹿児島県から3社であった。
18社のうち,8社が酒造会社であり,やはり近年のブームによる勢いを感じさせる。
本県の3社も,うち2社は薩摩酒造株式会社,小鹿酒造協業組合で,もう1社はマルハ株式会社(会社名の敬称略。以下,同じ)。マルハ社の本社は東京都であるが,今回の出展品が奄美大島で育てられた養殖クロマグロ,同カンパチということで本県からの出展となった。
酒造会社の2社は,すでに現地代理店をお持ちで,さらなる販路拡大を目指す薩摩酒造(株)と,タイへの売り込みは初めてとなる小鹿酒造(協)と,対照的な2社となった。
薩摩酒造鰍ヘ,すでに中国,アメリカを中心に海外に多くの販路を構築されている本県企業海外進出組のパイオニアの1社といえる会社で,現地代理店と協力し,さらなる販路拡大を目的として参加されたとのこと。
また,小鹿酒造(協)もタイは初めてということであるが,隣国マレーシアにはすでに販路をお持ちとのことで,次の市場としてタイにチャレンジしたい,とのことであった。
商談中の本県参加企業ブース
私は,プロモーション調査終了後に,バンコク伊勢丹や現地の日本人がよく利用するといわれている日系スーパーなどに足を伸ばしてみたが,両店ともに,アルコールコーナーには,薩摩酒造鰍フ商品のほか,本県酒造会社5〜6社程度の商品(芋,麦,黒糖)がしっかり目立つところに陳列されていた。
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鹿児島の焼酎も並ぶ現地日系スーパー
マルハ社の養殖クロマグロ,カンパチについては,イベント開始から1時間後の10:00頃より解体ショーが催され,現地バイヤーやマスコミの注目を集めた。解体ショーでは,ジェトロ・バンコクセンターの職員が,解体の手順や養殖クロマグロの育て方などを説明。説明の中では度々「奄美大島」という言葉も登場し,しっかりPRしてくれていた。(できれば「鹿児島の奄美大島」といってくれればもっとよかったのだが)。
奄美大島のご出身という同社の担当者の方に話を聞けば,「やはり,輸送費等の関係で価格が(高くなってしまうのが)問題となるが,バイヤーによっては,『(他国産のものなどとは)味が全然違う』という反応もあった」とのことであった。
一番注目を集めた奄美大島産クロマグロの解体ショー
他県からの出展者として,気になったのが,福岡県から出展されていた株式会社ルネサンス・プロジェクト。出展品が,福岡県を中心とした数社の酒造会社の商品で,またその中には本県の酒造会社の商品も含まれていたので,取材をしてみた。同社は酒造会社等から委託を受け,海外を含めたマーケティング戦略の作成や実施を業務とされており,今回は顧客である企業の商品を束ねての出展,売り込みとのことである。
小鹿酒造(協)の職員の方も,「海外でのビジネスは,やはり国内とはかってが違うため,そのノウハウなどを海外進出の先輩たちからいろいろ教えていただいたりしている」といわれていたが,(株)ルネサンス・プロジェクトは酒造会社の海外ビジネスの強いサポーターとなることを目的としている会社のようである。(本県の企業も出展品に含まれた1社を含め,2社ほどが顧客に名を連ねているという。)
興味ある方はぜひ,同社のウエブサイトを覗いてみていただきたい。
【http://www.theshochu.com】
私は,3月に鹿児島へ戻った際に,ジェトロ鹿児島の担当者の方に,同プロモーションにおける結果などについて,話を聞く機会があったが,鹿児島からの参加企業の中にも,なんらか,今後につながる引き合いのあった社があったようである。
バンコクは,アジアでは上海に次いで,在留日本人が多い都市であり,また,日本食品が定着していること,着実に富裕者層・中間層が増えていることなどを考えれば,今後,同地において,物産展や商談会を開催する日本の自治体がもっと増えていくかもしれない。
バンコク伊勢丹では青森県がフェアを開催
プロモーション会場となったホテルのちょうど道路を挟んだ対面にあるバンコク伊勢丹では,5階の催事場において,青森フェアが,2月15日〜同25日【11日間】の日程で開催されており,こちらの方も見学してみた。
出展品は,勿論といっていいりんごのほか,りんごなど果物をつかったジュース,水産物や,漬物,津軽ラーメンなどかなり多数の商品が出展されていた。昼間と夕刻の2度ほど足を運んでみたが,昼間はそれほどでもなかったが夕刻は日本人だけではなく,タイ人なども含め,とてもにぎわっており,受付でパンフレットをいただこうと思ったが,すでになくなっていた。
伊勢丹で開催されていた青森フェア
また,バンコク伊勢丹の食品売り場に足を伸ばしてみると,福岡のあまおう,佐賀のさがほのか,熊本のひのしずくが,トリオを組んで売り込みされていた。売り子が立ち,設置されたテレビではあまおうを売り込む映像と歌が繰り返し流れており,力を入れた売り込みがされていた。
タイからの訪日旅行の状況
今回のバンコクへの出張は,九州食品プロモーションの実施状況等調査が主な目的であったが,調査の合間を利用し,世界各国で訪日旅行客増加推進に尽力している独立行政法人国際観光振興機構(JNTO)のバンコク観光宣伝事務所を訪問し,タイからの訪日旅行の現在の状況等について,話を聞いた。
ちなみに,タイから鹿児島を訪問する場合は,バンコクと福岡が,2便の航空路線で結ばれている(2007年3月現在)ので,これを利用することになる。タイ航空と日本航空の共同運航便が毎日1便(タイAM1:00発→福岡AM8:00着),バンコクエアウエイズが火・木・土曜日の運行である(時刻は上記タイ航空とJALの共同運航便と同じ)。(以上 福岡空港ホームページより)
2006年のタイは,クーデターなどの政情不安,原油高等による景気の減速により,年前半は日本などを含む長距離の海外旅行者数はなかなか延びなかったようであるが,クーデター後は約9年振りのバーツ(タイの現地通貨)高も助けとなり,その数が伸びたようである。
JNTOの統計によれば2006年のタイ人訪日数は過去最高の125,600人を記録し,国・地域別の訪日外客数(日本を訪れた人数)順位は9位である。(ちなみに1位 韓国,2位 台湾,3位 アメリカ,4位 中国)。
タイ人がいく海外旅行先としては,1位 マレーシア,2位 中国,3位 シンガポール,4位 ラオス,5位 香港,そして6位が日本となっており,中国の渡航先(地域)の詳細が不明であるが,日本を覗けば,近隣の国が上位を占めている。
タイは,1人あたりのGDP数値をみると,やはりまだ香港,シンガポール,台湾などに差をあけられている感はあるが,今後,政治が安定し,東南アジア各国,また中国,日本などとの経済連携が進み,経済も順調に伸びをみせれば,所得中間層数が伸びをみせ,日本への訪日客の増加可能性も非常に高い地域だとのことである。
訪問したJNTOバンコク観光宣伝事務所
現在は本県を含め,全国各県がそれぞれ国内外からの観光客誘致にしのぎをけずっているが,他方で各都道府県ともに財政状況が厳しい中で,誘客に力を入れる海外(国・地域)を厳選し絞込みを行わないといけない状況にある。本県でいえば,韓国を筆頭に,中国の主要都市,香港,台湾などが絞り込まれた海外都市ということになろう。
やはりJNTOバンコク事務所の話でも,現在のタイは,香港などのように,日本の各都道府県が1年を通してかわるがわるエージェントなどに売り込みを行うような状況にはないようである。しかし,そのような中でも,仙台市(宮城県)のように,地道にPR活動などを行い,認知度向上に力をいれ,少しずつその成果をみせつつある自治体もある,とのことである。
昨年 バンコクの雑誌マスコミが鹿児島を訪問し,県観光課,社団法人鹿児島県観光連盟の協力で,県内各地の取材を行った。そして,取材を素に,タイ人向けにタイ語で作成された「VISIT JAPAN」という雑誌は現在,タイで一般雑誌として販売されており,温泉を中心にかなりのページをさかれ,鹿児島が紹介されている。
もちろん,訪日人数などは,まだまだ韓国,台湾,香港などのそれと比較するとさびしい感が否めないのは確かではあるし,日本への訪問先もいわゆる東京、大阪などのゴールデンルートが中心ということである。 しかし,名前(鹿児島)を覚えてもらうことが,一朝一夕にはいかないことなどを考えれば,今回の雑誌掲載をひとつのきっかけとして,いろいろな機会を利用して,少しずつでも「九州 ・鹿児島」のPRを行っていくことが重要であり,タイ・バンコクは,今後力をいれてくる日本の自治体が増えてくるのではないかと思わせるようなポテンシャルを持っているように感じた。
対応してくださったJNTO職員の方が「私は鹿児島をよく知っているが,町のど真ん中にある活火山 桜島の風景は,北海道の雪祭りと同じで,タイ人などはみたことがないはず。また家族旅行が好きなタイ人にとって,温泉でゆっくりできるのも魅力的なはず」と言ってくれた。
勿論,訪問した私に対する多少のリップサービルがあったとしても,それを間に受けて,多少,本気になってみるのもいいかもしれない,と思った。
〜ミニシリーズ 香港の食品市場情報〜
これまでの本シリーズでも一度述べたが,香港はきわめて食料自給率が低く,そのほとんどを域外からの輸入に頼っている。そしてそれらの食品は,「どこの国から輸入されたものか」によって,かなり価格帯に差異がある。
日本食品は一般的に,中・高所得者向けで高い価格帯とされているが,他国(地域)からの輸入食品とどれほどの違いがあるのか,いくつかについて調査し,数回に分けて報告させていただく。
今回はその初回ということで,豚肉について,報告する。
本県は,豚肉生産日本一の県であり,その代表である「鹿児島黒豚」は,日本国内における食品ブランド調査で上位に顔を出し,また1月に香港で行われた鹿児島フェアでも取り扱われるなど,香港での知名度も,結構なものである。
この豚肉であるが,香港への輸入の状況を2005年の数字でみてみると,数量・金額量双方において,約50%を占める中国産,約25%を占めるブラジル産が主流となっており,ベトナム,ドイツ,オランダが続く。日本からの輸入はまだ少ないが,最近は金額量の伸び率は大きいようである。
私は,6つのいわゆる日系スーパー,及び地場大手2社のスーパーを調査してみたが,日系スーパーのうち3社で日本産豚肉が並んでいるのを確認できた。
価格的には,やはり各国産と比し日本産が一番高く,以下のような状況であった。
(100gあたりの価格。1HKドル=15円で計算)
日 本 産 約630〜870円
アメリカ産 約300〜600円
オーストラリア産 約120〜180円
ブラジル産 約120〜180円
中国産 約 75〜150円
勿論,同じ国(地域)からの輸入された肉であっても,商品により価格差はあるのだが,おしなべると,きれいに価格帯がわかれているのがわかっていただけるのでないだろうか。
先述したように,香港で主流の中国本土産,ブラジル産とは,5〜6倍という大きな価格差になっているようである。
「日本の食品が高品質で,味も良く,安全安心。だから高い」というのは,すでに多くの香港人に認知されていると思われるが,やはりここまでの価格差があれば,日本産豚の顧客は一部の富裕者層に限られる(よって,量的には大きなものにはならない)のは,仕方がないだろうと思われる。