「2007 広東国際旅遊文化節」で九州観光をPR
貿易ニュース鹿児島 2008.2月号

 昨年の11月23日(金)から26日()まで,広東省の省都である広州市(天河体育センター内 広場)で,中国政府・商務部及び広東省人民政府の主催による「2007 広東国際旅遊文化節」が開催された。
 同イベントは,昨年度のオープニングセレモニーに,呉儀副首相が出席するなど,GDP成長率で中国国内を引っ張る広東省においても一大イベントの一つ。昨年度に引き続き,九州観光推進機構がブース出展,及び花車での九州観光のPRを行い,弊事務所も香港から参加したので,状況を報告させていただく。
 九州の花車は,キティちゃんと火山でPR

富裕層が増えている広東省 
 広東省は,省都に,日本自動車メーカー・ビッグスリーの工場が出そろう広州市を持ち,またもう一つの大都市として,経済特区がある深せん市が存在する。2006年における同省の実質経済成長率は14.1%と国平均の成長率を大きく上回り,中国経済全体を引っ張っている省の一つといえる。
 独立行政法人国際観光振興機構(JNTO)によれば,06年の日本への国別 海外旅行者数は,第1位が韓国,その後台湾,アメリカ,中国と続くが,中国人観光客のうち,その約3分の1が広東省からの観光客となっており,その経済成長により,レジャーとして海外旅行を楽しむことができる富裕層が,急増している省であると言えるだろう。
 既にご存じ,或いはご利用された方もいるかもしれないが,実は,九州と広東省は,航空路線でつながっている。福岡空港と広州白雲空港間に,中国南方航空(CZ)が週5本(火・水・木・土・日)の定期便を就航しており,時間帯をみても福岡発が16:15発→18:30着,広州発が,11:30発→15:25着と,決して使い勝手は悪くなく,飛行時間も,福岡発が3時間15分,広州発が2時間55分と,実は,広東省は九州から結構近い場所に存在している。

花車でPR
 今年の同イベントでは,昨年に引き続き,九州観光推進機構(九州全体で,国内外からの観光客誘致を促進するために,九州の官民合同で約3年前に立ち上げられた組織)がブース出展と花車による九州PRを行った。http://www.welcomekyushu.jp/
 まず,花車であるが,広東省の観光親善大使を務めるジャッキー・チェーンが毎年登場する,陸上競技場を使った大がかりなオープニングセレモニーにおいて,大勢の観衆を前に競技場内を周回しPRすると共に,開催期間中の土・日・月曜日に会場付近の市内道路を周回し,広州市民に向け,PRが行われた。海外からの参加で花車を使ったPRを行っていたのは,香港・マカオの特別行政区を除けば,オーストラリアと日本の九州だけであった。
 九州の花車は,人気キャラクターとして中国でも大変人気のあるキティーちゃんをメインに,火山のジオラマが,噴煙を模した煙をはきながら周回しており,非常に目立っていた。
 市内の一般道路を周回する時間以外は,会場近くの広場に展示されていたのだが,九州花車のキティーちゃんと一緒に写真撮影を行う若い女性なども目立ったようである。
 海外誘客では,このようなキャラクターが強力な武器となるのを改めて,実感させられた。
 今や飛ぶ鳥を落とす勢いのマカオをPRする花車

ブース出展で観光パンフレット配布
 ブース出展は,24日(土)から開始された。
 日本からの出展は,九州の他,大阪,兵庫の3ブース。昨年,3ブースほどを使って,PRを行っていた北海道の出展はなかった。
 兵庫県は,広東省と姉妹交流を行っており,毎年参加されており,同県の芸能団なども来港し,同イベントと併せ,「友好都市のゆうべ」なども開催されていた。
 また,北海道が不参加だったことについて,私は単純に,「北海道も本県と一緒で財政難だからなー」といかにも公務員的な印象をもったのだが,九州出展を担当した広告企画エージェントの担当者の意見では,「東京や大阪などを除いて,日本の地方では,北海道観光は,中国では一人勝ちの状態。特に,雪にあこがれがある南の地域での人気は高い。広州のような華南地域では,PRしなくても人気は確保できるので,東北地域や華北地域でのPRに力をいれたほうがいい,と判断したのではないか。」とのことであった。確かに,香港や台湾でも北海道人気は,日本の地方の中では群を抜いており,真相はわからないが,一理ありえる意見だなと思った。
 浴衣を着たバイト学生がパンフを配る九州ブース

 九州ブースは,まずは,美食九州をメインに彩られ,本県からは香港でも知名度が高い黒豚が紹介され,そのほか,福岡のめんたいこ,佐賀の温泉豆腐,熊本のラーメン(中国では味千ラーメンが,とても有名),大分の関サバ刺身,宮崎牛,長崎の牡蠣などが,紹介されていた。
 九州の美食でPR

 また,自然,景観,温泉,娯楽などをキーワードに紹介も行っており,自然では桜島,景観では知覧の武家屋敷,温泉では指宿の天然砂蒸し温泉が写真に採用されるなど,鹿児島の素材(写真)は,活用率が高かった。前述のエージェント 担当者に聞いたところ,それぞれのキーワードによって,九州各県の写真をチェックし,海外でも受けそうな素材(写真)を採用したとのことであった。この基準で,鹿児島の写真が多く採用されたということは,海外でも通用する観光素材が,鹿児島には多いと言えるだろう。
 鹿児島パンフレットを手にする来場者

【それぞれのキーワード毎に採用されていた素材は以下のとおり】
 『自然』→桜島,阿蘇山(熊本),長崎の島々
 『娯楽』→キャナルシティ(福岡),ハーモニーランド(大分),ハウステンボス(長崎)
 『景観』→太宰府天満宮(福岡),熊本城,知覧の武家屋敷群
 『温泉』→嬉野温泉,島原温泉,指宿砂蒸温泉

 また,ちょうどブースの入り口上に設置された看板には,熊本城などと共に,磯庭園からの桜島の風景が使われていた。しかも,看板の中央で。エージェントに確認したところ,この看板については,九州サイドが渡した九州観光素材集の写真の中から,主催者サイド(広東省側)が選び,独自に作成したものであるのことであった。これは,『中国人にもこの風景が一番インパクトがある』と思われた,ということであり,これはうれしく思うと共に,非常に驚かされた。

他の海外からの出展は
 日本以外で海外からの出展は,前述のオーストラリアの他,韓国やフィリピン,アメリカなどの出展があった。特に,韓国は,雪(スキー)は勿論,中国でも大変人気があり,そのゆかりの場所を訪問するツアーまで作られているという『チャングムの誓い』を使ったPRを行い,特に目立っていた。
 ただ,昨年度と比較すると,海外からの出展は少なくなっており,出展者のほとんどは中国国内の省や都市で,「国際」イベントとしては,若干さびしい印象を受けた。勿論,逆に言えば九州を含む海外組の注目は高く,九州だけでなく,日本関係ブースは,どこも訪問客がひっきりなし,という感じであった。
 韓国は,雪(スキー)とチャングムでPR

今,どのような日本ツアー商品が売られているのか
 会場内には,中国国内 各省・各都市の観光PRブースと併せ,広東省の大手旅行社が,ツアー商品を販売するためのブースも設置されていた。各社は,社員或いは大勢のアルバイトを動員して,ブース以外の場所でも競うように,ツアー商品のチラシを配布していた。
 このチラシを入手し,今,どのような日本ツアーがここ広東省では販売されているのかチェックしてみた。
 結論から申し上げると,やはりまだまだ東京・大阪・富士山などを中心とした『ゴールデンルート』商品が中心である。そのほかでは,東京+周辺の温泉地(たとえば草津温泉など)との組み合わせ,東京と北海道の組み合わせ,中には,日本と韓国を組み合わせた商品なども販売されている。数は少ないながらも,九州ツアーも販売されていたが,福岡と長崎のハウステンボスなど,まだまだ北部九州中心という内容であり,鹿児島を含む南部九州はこれからなのだろう。

昨年11月に広州〜鹿児島直行チャーター便を
利用したツアーを催行した広東
CITSのブース
日本送客が多く,毎年,本県の観光セールス団も
会社を訪問している広之旅旅行社のブース

最後に
 今回のブース出展に際に,九州観光推進機構は各県の観光担当部署,観光連盟などに,各県観光パンフレットの配布の希望を募り,応じた長崎,熊本,鹿児島の観光パンフレットが,九州パンフと併せて,配布された。本県分は,弊事務所から送付していた。観光パンフレットも,量に限りがあり,費用対効果をよく考えて使用しないといけないため,今回弊事務所が送付していたのは,400部。しかし,その400部は,ブース初日の24日の昼過ぎにはすべてなくなるという状況であった。
  勿論,香港を含め,海外での同様のイベントにおいては,本当に海外旅行に興味があり,入手した観光パンフレットなどを念入りに見てくれる来場者がどの程度いるのか,という問題は,常についてまわるところであるが,受け取ってくれた来場者のうちの1割でも2割でも資料に目を通してくれ,或いは「鹿児島」の場所だけでも覚えてくれ,日本に鹿児島という場所があることだけでも記憶に止めてもらえたとすれば,出展の効果はあったのではないかと思う。ブースには,一般来訪者以外に,マスコミや日本ツアーに興味がある旅行社の社員などの訪問もあったので,その点でも良かっただろう。
 一般市民への,PRというのは,地道な活動の継続だとつくづく実感するので,勿論費用対効果を考えながらではあるが,香港事務所ならではのPR活動を今後も続けていきたいと思う。