いよいよ鹿児島・香港定期便復活
貿易ニュース鹿児島 2008.4月号

 皆様ご存じのとおり,4月28日(月)から鹿児島・香港間の直行定期便が,2002年10月以来,5年半振りに復活する。(この貿易ニュース4月号が,皆様のお手元に届いている時は,将に就航直前の頃だろう。)
 20年以上にわたり,香港事務所を設置し,2年に1回の交流会議の開催に代表される地道なスポーツ・文化・経済交流を継続してきた鹿児島県にとっては,良きパートナーである香港との間に「足が復活される」ことは,長年の目標であった。
 再チャンスを与えられた形となったこの定期便復活をぜひ民官一体となって「アジアの時代を見据えた戦略的な産業振興や魅力ある観光地づくり」に向けた取組への追い風にしたい。
 今回のレポートでは,本定期便の復活の経緯・就航後の展望について,ご報告させていただく。

  鹿児島・香港定期便 路線概要
☆ 香港エクスプレス航空
☆ 運航曜日:月曜日・火曜日・金曜日
☆ ダイヤ :鹿 児 島 → 香 港
       13:50 → 15:55
       香 港   → 鹿 児 島
        8:45 → 12:50
☆ 使用機材:B737(164席)
※ダイヤは,本稿執筆時である3月末時点。

成長目指す香港エクスプレス航空
 今回,定期便を就航する会社は,「香港エクスプレス航空(以下「香港EX社」という。)」という香港の航空会社である。正直,あまりなじみのない方もいらっしゃるかもしれないが,中国国内では4番目の規模を誇るといわれている海南航空のグループ会社であり,同じくグループ会社である「香港航空」と共に,昨年の4月,6月末から〜9月初旬,同じく9月下旬から今年の4月末まで,香港・鹿児島間に,九州への観光者向けのチャーター便を継続して就航している(この2つの航空会社は,合併に向けて,動き出しているという話もある)。
 香港の航空会社としては,1994年3月末まで鹿児島に定期便を就航,また昨年10月末には,香港・福岡定期便就航を開始した「香港ドラゴン航空」が,鹿児島の皆様にはなじみ深いだろう。香港EX社は1997年の設立でまだ歴史は浅いが,このたび,ドル箱路線と言われている香港〜上海,香港〜北京線の就航許可を,香港の航空会社としては,キャセイパシフィック航空,香港ドラゴン航空に次いで受けており,香港特別行政区政府 担当者の言葉を借りれば「今後,順調に成長していく可能性が高い航空会社」ということである。

 鹿児島便を就航する香港EX社の機材

なぜ鹿児島に定期便を?
 香港EX社と香港航空が,昨年以来,かなりの本数のプログラムチャーター(定期便のように,定期的に就航されるチャーター便)を就航させていることは先述したが,両社の昨年からのチャーター便の就航先は,なにも鹿児島だけではなく,沖縄を初め,広島,和歌山,福島など,日本各地方都市に及んでいる。
 今回,香港EX社の定期便就航が,4月3日の沖縄便を筆頭に,4月26日の岡山,4月28日の鹿児島,4月30日の広島,5月30日の名古屋に決まったことからさかのぼって考えれば,同社は,昨年からのチャーター便で,「日本の地方都市の中で,定期便就航先として,適当な場所はどこか」を見定めていたのではないかと思われる。
 実際,最初の定期便就航先となり,鹿児島を上回る週4便(就航当初は週2便)の就航が予定されている沖縄のチャーター便は,搭乗率が非常に高く,香港の旅行社などの評判も極めて高かった(沖縄は,九州のように,以前一度観光ブームがあった場所と違い,香港人にとっては,未開拓の地(いったことがある人が極めて少ない場所)であり,この辺りも,高い搭乗率を支える一因になっていると思われる)。
 勿論,鹿児島便の搭乗率もひけはとっておらず,6月末〜9月初旬までに就航した鹿児島イン,アウトのチャーターは,20数便の平均搭乗率が90数%,9月26日から継続されているチャーターは,22便(3月12日就航分まで)平均の搭乗率が約88%と非常に高い数字である。
 昨年夏から今年4月までの,プログラムチャーター便が決定・就航していた際も,本県は,どちらかと言えば,「このチャーター便を定期便につなげよう」という戦略ではなく,「このチャーター便ができるだけ長い期間,就航されるように航空会社や旅行社を支援していこう」という戦略をとってきた。それは,国際線定期便の就航或いはその維持が,本県にとっては,それほど簡単なことではないことが,わかっていたし,また,以前のトラウマ(過去の定期便の就航停止の経験)も勿論あっただろう。ただ,結果的には,このチャーター便を支えていこうとした民間の観光関係者や県観光課・観光連盟,交通政策課などの取組みが,手前味噌ながら,高い搭乗率を支え,定期便就航場所の選抜競争を勝ち抜いた一因にはなったのではないか,と考えている。

【チャーター便の高い搭乗率を支えた本県の主な取組】
○チャーター便を利用した観光ツアー商品を企画・販売する香港旅行社への広告支援事業
ITE(香港旅行博)への出展による一般香港人への鹿児島観光PR【6月14日〜17日】
○鹿児島のホテル・バス会社 等と連携した 香港旅行社,航空会社への鹿児島観光のプロ モーション活動(7月3日,4日)
○チャーター便就航のきっかけを作った旅行エージェント社長を鹿児島に招き,県内観光業者を対象にした講演会の開催及び鹿児島観光関係施設視察【7月20日,21日】
○県庁 国際定期便就航促進担当部局と,鹿児島空港ビルディングが連携した香港の航空会社,旅行社へのチャーター便 継続のためのプロモーション活動【8月29日】
○鹿児島のホテル・バス会社 等と連携した 香港旅行社,航空会社への鹿児島観光のプロ モーション活動(11月12日,13日)


すでに開始されている定期便利用促進に向けた取組
 香港〜鹿児島間定期便は,鹿児島にとって,ソウル線,上海線に次ぐ,3本目の国際線となる。他の2路線がそうであるように,地方空港における国際線の就航維持は,それほど容易なことではない。
 定期便利用促進に向けた取組は就航前からすでに始まっている。

(1)鹿児島・香港間の物流を促進するための鹿児島フェアの開催,香港卸業者との商談実施。
 2月22日〜29日まで,香港のスーパーマーケット「シティースーパー」各店において,鹿児島フェアが開催された。同スーパーと鹿児島県との関係は深く,古くから鹿児島フェアを共に開催している良きパートナーであり,同スーパーでは,おそらく他県と比較してもトップクラスの鹿児島産品が常設販売されている。
 今回のフェアについては,鹿児島が誇る黒牛,黒豚,ブリ・カンパチなどの水産物,そしてさつまいも と,あれもこれもではなく,取り扱い商品を限定して実施された(これは,「フェアで,ただ人がたくさん集まって,スーパー全体の売り上げが上がればよい。」という考え方ではなく,「フェアは,香港人に気にいってもらえるか(常設商品になれるか)どうかのチャレンジの場であり,すでに常設している商品のさらなる販売促進の場である」という同スーパーの考え方によるものである)。
 黒牛,黒豚やブリなどは,既に同スーパーでの取り扱いがなされており,販売促進という趣旨で実施され,鹿児島からも15名の関係者(県漁連,畜産会社,県特産品協会 等)が香港訪問し,試食販売などを行ったため,大盛況となった。
 特に,牛肉については,昨年5月の日本産牛肉の輸入解禁以降,当初は,香港政府が定めた基準を満たす処理工場が鹿児島県の2工場だけということもあり,どの日系スーパー等でも「鹿児島産」で満たされていたが,その後,宮崎の工場が認定を受けるなどしたため,宮崎産や佐賀産も入ってきており,さらに群馬県の工場も認定を受けたため,今後は関東産牛肉も増えてくると思われる。そのため,今後は,その中で鹿児島産を選んでもらう取り組みが必要となってくるため,今回のフェアは,そういった意味でも意義深いものだったと思われる。
 シティースーパーでの鹿児島フェア

 また,フェアに併せて,鹿児島からの訪問者と,香港の卸業者との商談の場をセッティングした。この業者は,香港・マカオの日本食・中華料理レストランに日本食品を中心に提供している業者さんで,丁度,タイミング良く,鹿児島フェアが開催される前に,「鹿児島の牛肉や豚肉,水産物や野菜,果物全般に興味をもっている。」という連絡を弊事務所にいただき,この機会を利用する形で2月23日に,商談をセットしたものである。
 
香港の卸業者との商談風景

 勿論,第1回目の商談ということもあり,具体的な話にまでは,及ばなかったが,早速3月下旬に,同業者の営業課長を,社団法人鹿児島県特産品協会が鹿児島に招待し,野菜果物市場の見学商談や,鹿児島黒牛と畜場の視察,鹿児島の輸出業者との意見交換などを実施したところである。
 定期便就航に当たっては,本県伊藤祐一郎知事が,「人だけでなく,物の往来が活発化できることが,定期便就航のメリット」と語り,また3月13日に鹿児島を訪問した香港特別行政区政府・駐東京経済貿易代表部のジェニー・チョック首席代表も「観光客の往来だけではなく,文化交流や産品輸出を積極的に進めていくことが重要」と言われていた。
 今後は,このような物流の幅を広げていく取組をさらに拡充していく必要があるだろう。

(2)定期便利用の観光ツアー造成促進を図るために,香港の旅行社へのプロモーション活動を実施
 去る2月24日,25日には,県観光課,社団法人鹿児島県観光連盟主催による今年度 第3回目の香港での鹿児島観光プロモーション活動が行われ,ホテル会社関係者,バス会社関係者が参加し,香港の旅行社8社に対するプロモーション活動が行われた。
 例年の香港での同活動は,年度2回であり,今回の3回目の実施は,将に定期便就航決定を受けて,急遽計画・実施されたものである。鹿児島側から参加された関係者の中には,これまでは長らく参加されていなかった方や,チャーターでは集客が難しいと言われているFIT【個人旅行】や高所得者向けとなるホテル関係者もおり,将に,定期便就航効果である。
 また,訪問した旅行社の鹿児島定期便就航,定期便を活用した観光ツアー造成・販売への反応も良かった。具体的には,以下のとおり。

○「これまでのチャーター便利用のツアーでは,鹿児島で1泊しかできなかったが,定期便が就航すれば,指宿を含めて鹿児島2泊するなど,鹿児島・宮崎をゆっくり見て回る南九州ツアーを販売したい」
○「屋久島や種子島など,これまで発掘されていない場所へのツアーも考えていきたい。」
○「今回,香港エクスプレス航空が定期便を就航する日本の地方の中でも,鹿児島便の席はぜひほしいと思っている」
○「鹿児島便の席を確保し,商品造成しようと考えていたのに,席の配分が自分たちまでまわってこなかった」
 また,定期便となるとこれまで,あまり県として十分に力を入れてこなかった個人旅行者(航空チケットとホテルだけを購入し,ツアーを利用せずに自分たちだけで自由に旅行される方々)向けの体制整備や,情報発信,FIT専門旅行社へのアプローチなど,今後の課題も今回の活動で浮き彫りなった。タイミング良く,九州観光推進機構主催の事業により,3月14日から,香港の個人旅行者専門旅行社の職員数名が鹿児島を訪問しており,香港事務所としても,まずは,彼らに対するアプローチから進めていきたいと考えている。

最後に
 とにもかくにも,香港〜鹿児島定期便就航である。いつまで続くか,搭乗率は大丈夫か,鹿児島から香港に,どれだけの方がきてもらえるか,など,考えれば悩みはつきず,やらないといけないこと,やれることは山ほどあるだろう。
 ただ,本県には,長い間培ってきた香港との多数の交流など,他の地域はもっていない武器もある。あまり片意地をはらずに,これまでの活動同様,地道に,できることから,定期便利用促進活動も続けていければと思う。