南九州の旅
日本貿易振興会上海センター 鹿児島経済交流部 李維佳
「間もなく福岡空港に到着いたします。」との機内放送が流れると、思わず窓から下の景色を眺めました。底まで見える澄んだ青い海の上に大きな島といくつかの小さな島が浮かんでいます。日本の海は綺麗だねとつい独り言が口に出ました。
空港を出て駐車場に向かう途中、車を運転している人たちのマナーの良さを感じました。歩行者優先ということでした。
バスで鹿児島県の霧島に着いたのはもう夜の六時過ぎでした。夕食は後にし、ホテルの温泉に入りました。いつも鹿児島の方々から、鹿児島は温泉資源が豊かなところだと聞いていましたが、入ってみると確かにすばらしいでした。一日の疲れが取れただけではなく、肌もすべすべになってきました。聞くところによると、温泉に入るのは一日三回といいますが、翌朝早起きして、二回目として入ってみました。やはり気持ちがよかったです。広い露天温泉では、硫黄の匂いがする朝の空気を吸いながら景色を眺めました。緑の山が、徐々に上がってくる霧のような温泉の煙に囲まれています。確かに霧の島だと思いました。
一時間半かけて、霧島連山に登りました。えびの高原のススキは本当に海老の皮のように朝日の下で輝いていました。このような綺麗な景色を守っているのはきっと霧島神宮の神々でしょう。
自然に恵まれている鹿児島は地熱資源が豊富であり、そして活火山が市内から見えるのは中国人にとって珍しいことです。錦江湾を渡るフェリーの上から雄大な桜島を眺めると、火口の上に大きな真っ白の雲が見え、まるでマッシュルームのようでした。澄みきった青空をバックにした美しさが目の前に広がります。
一日中、たくさんの美しい景色を楽しんで、夜は指宿の砂蒸しでリラックスしました。温泉の水で暖めた黒い砂に体を包まれて、汗が出てきました。適度な熱さがあり、ランプの薄い光の下で次第に眠くなってきました。15分間という短い間でしたが体に力が注ぎ込まれるような気がしました。
次の日、昨日の夕食で味わった鳥刺しの印象を残したまま鹿児島市内に向かいました。まだ11月の下旬でしたが、あちこちですでにクリスマスの雰囲気が漂っていました。山の上にあるホテルからの市内の夜景は最高でした。
朝日の下で霞んでいる桜島の景色を見た後、鹿児島を離れて、隣県の宮崎へ移動しました。車内では景色を見ながらガイドさんの民謡を聞きました。鹿児島の方言はよくわからなかったですが、鹿児島にいる間に地元の人たちの純朴さとお招きしていただいた皆さんの親切さが心に残り、思わず名残惜しい気持ちになりました。
お昼に宮崎県酒泉の杜に着きました。さすがお酒工場です。様々なフルーツでつくったおいしいワインが試飲できます。酒泉の杜レストランはお客さんがいっぱいいました。特産の地ビールに酒泉の杜カレーライスは中国人にも大好評でした。その独特な味はきっと中国に帰っても懐かしくなることでしょう。
「食後百歩、99歳まで活きる」という中国のことわざがあります。まだお酒の香りに酔っている中、世界一を称する綾の照葉歩く吊り橋につきました。橋の上に立って、延々と続く自動車道を見下ろすと、車が甲虫のように見えました。三百数十メートルの高さがあるため、周囲の景色を一望に収めることができます。緑の山に紅葉が鮮やかに彩られており、泉水の流れの集まりが形成した細い川が銀色の帯のように麓にはまり込んでいます。まるで絵の中に入ったような気がしました。
今回の南九州の旅の最後の行き先は熊本でした。阿蘇の火口見学は当時有毒のガスが出ていたため、現場まで行けませんでしたが、遠くから火口の煙が見えて、鹿児島の桜島とはまた違う風景でした。やはり自然の造物は不思議だと思いました。
夕方、ホテルに行く途中、阿蘇ファームランドに寄りました。地名だけでファームみたいなところだろうと思いましたが、着いたらすごく広くてよく整備されているリゾート地でした。宿泊用の部屋というのは丸い形の家です。一戸には三、四人が泊まれます。それぞれ赤、青、黄の屋根があり、あまりに広いので、レストランや温泉浴場に行くには区内のバスを利用します。もうすぐクリスマスになるためかもしれませんが、ライトアップされたファームランドは非常に綺麗でした。間違って童話の世界に入ってしまったような錯覚を覚えました。
最終日、帰りの飛行機に乗ったとき、短く感じた南九州の旅でつくったいろいろな出来事が思い出されました。国々はそれぞれ独特な風景を持っていますが、日本の南九州の景色をもっともっと多くの人に見てほしいです。ゆっくりと南九州の風土・民俗を体験すると私たちの見識はもっと豊かになることでしょう。