◇株式会社阿久根商店 代表取締役 阿久根 秀信 氏 <所在地:鹿児島県加世田市小湊9411 電話:0993−53−9411> ![]() 阿久根商店は昭和23年に現社長の父,一郎氏が加世田市に創立した。当初は農家の生産した小麦をソーメンにして渡す委託加工から始め,逐次乾うどん,ソーメン,乾そばの製造を,更に生ラーメン,ゆでめん,包装麺,蒸中華,揚そば,冷凍麺と多品種生産に入り今日の製麺工場を築き上げてきた。 株式会社阿久根商店となったのは昭和49年で,昭和54年に最新のオートメーション機器を導入した製麺新工場を建設した。 秀信氏は平成5年10月に代表取締役に就任した。 平成13年に香港のチムサーチョイにあるシルバーコード内のフードコートに海外進出の1店舗目となる「せごどんラーメン」を出店し,翌,平成14年には2店舗目「阿久根ラーメン」を1店舗目の近くにあるハーバーシティ内に出店した。 両店舗が近かったため,「せごどんラーメン」はトンコツ味,「阿久根ラーメン」は飛び魚ダシのトンコツ味と,鹿児島の味にこだわりつつ,両店が競合しないように気を使った。 なお,昨年10月からは両店舗をハーバーシティー内の店舗に1本化し,店名を「鹿児島ラーメンせごどん」とした。 ![]() 「鹿児島ラーメンせごどん」店舗 「鹿児島ラーメンせごどん」ではトンコツ味,あごだししょうゆ味,あごだし塩味,トンコツみそ味のラーメンを提供しているが,香港人に人気があるのはトンコツ味で,本来,しょうゆや味噌,塩味が主流である北海道のラーメン店が,わざわざトンコツ味のラーメンを出しているくらいである。 また,香港人は何でも豪華な感じを好むようで,ラーメンの上にコロッケや豚カツなど,いろいろな物をのせて食べており,「鹿児島ラーメンせごどん」でも,そんな香港人の好みも踏まえて,さつまあげを塩ラーメンにトッピングして出しており,1番の売れ筋である。 さらに香港では,ラーメンのスープの量は多い方がよいという要望が多く,「鹿児島ラーメンせごどん」でも麺が見えないほど,スープを多めに入れて出している。 阿久根社長は,毎月香港を訪れ,味と経理のチェックを自ら行っている。「鹿児島ラーメンせごどん」では,タレは日本の物を使い,ダシは香港でとっているので,自社(鹿児島)の味にこだわる社長は,香港風のラーメンになってしまわないよう,香港でのダシの取り方にとても気を付けている。 「せごどんラーメン」では土,日は400食,金額にすると2万HKドル(日本円27〜8万円)を売り上げていた。年間を通して一番売れるのは7,8月の夏休みの時期と12月で家族で食べに来る人が多いからだと思われる。 「鹿児島ラーメンせごどん」が入居するハーバーシティーはオフィスビルの中にあるため,昼は客の4〜6割が日本人,夜は8割強が香港人である。また,フェリー乗り場が近いため,最近では中国の深セン,広州あたりから訪れる中国人が増えている。 「せごどんラーメン」を香港に出店した頃は,ラーメンといえば香港人が日本のラーメンをまねてつくる「日式」が主流だった。「鹿児島ラーメンせごどん」は,日本と同じ味の物を出しているが,最近では,阿久根商店のように日本から人を派遣する方法での出店が増えてきており,10軒程が同じような形態で出店している。 阿久根社長は以前から香港の物産展に出展するなどして市場調査は行っていたが,香港進出のきっかけとなったのは,以前から取引のあったシティースーパーから,シルバーコード内にフードコートをつくるので出店して欲しいという要請があったからである。 進出にあたり人材探しがネックだったが,ちょうど知人の甥が香港でコックをしており,「せごどんラーメン」の店長として迎える事が出来たのは幸いだった。 現在,従業員は店長以下6名で,店長が日系人,残りは全員香港人であるが,香港人従業員の雇用はシティースーパーが行っている。 香港進出がうまくいったのは,店を任せられる人を捜し出せたことが一番のポイントと言える。また,香港に出店する際の流通・雇用等に関する事はシティースーパーが担い,現地法人設立の手続の部分も信頼できる人に頼む事ができた。 店の広報については,特にしていないが,口コミで評判が広がり,リピーターも多く,香港在住の日本人を対象とした新聞や週刊誌等によく取り上げてもらっている。 阿久根社長は商品に使用する水にもこだわっている。加世田の工場ではセラミックを通した水を使用し,香港ではダシを取る水も浄水器を通して軟水に変えて使用しており,香港の水を鹿児島に持ち帰って水質検査を受けているほどだ。 また,麺についても,香港の麺の取引先の工場長は日本人で,以前,阿久根商店の取引先の製粉メーカーに務めていた人物であるため,阿久根商店の商品を熟知しており,香港でも鹿児島と変わらない麺を仕入れることができる。 なお,阿久根商店の麺はクロレラ入りが特徴だが,クロレラを入れることによって,粉臭さが消えたり,ゆで時間を短縮できるなどのメリットがある。 現在,材料の流通・管理は,シティースーパーで行っているが,将来は全て阿久根社長が自分で行えるようになるため,目下,貿易の勉強中だ。 また,阿久根社長は,今後売り上げ増のためには,鹿児島県外にも販路を広げていかなければならないと思っており,また,海外については資金的な問題もあるが,フードコートの中だけではなく,路面店も出店したいと考えている。 <取材:平・永田> 阿久根商店の麺製品(他にも多数あります)(貿易ニュース鹿児島2005.1月号掲載) |