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その28

当協会の理事で,弓場貿易株式会社社長の弓場秋信氏による,すぐに役立つワンポイント貿易アドバイス!

その28

弓場秋信氏「冬ソナ」に代表される最近の「韓流ブーム」は、ソウルとの直行便が就航している鹿児島にも押し寄せ「日韓首脳会議」の指宿開催で最高潮に達している感がある。韓国と日本との関係は「近くて遠い国」と言われる時期が長かったが、最近は「近くて近い国」になってきたと実感させられる。この流れを経済に携わる人はどう捉えビジネスに生かすかを考えてみたい。

韓国と日本は地理的に近く歴史的にも深い関係から経済構造や生産物に類似点が多く、補完関係と言うより雁行型経済圏から競合関係に移行している。マクロ的に見ると物流面でのビジネスチャンスは「韓流ブーム」にあやかれそうにもない。また韓国経済の特徴として言われている財閥系大企業支配が、日本や台湾のようなサポートインダストリー群の成長を遅らせ、私共の取引相手先と成り得る中規模企業数が少ない。しかし最近では独立系中小企業が多数興り、限られた韓国内のマーケットだけでなく政府の後押しも得ながら積極的に海外に販路を求めるべく活動している。財閥系企業はロットが大きく敷居も高かったが新興企業群の成長は、私共にとってビジネスチャンス到来である。
何処の国でも一緒だが取引を始めるにあたりその国の国民性や商取引への考え方を理解する事が大切である。韓国との過去の取引経験から印象に残ることは、取引に対する一生懸命さ積極さである。韓国訪問の折に「焼物の里」を見学した。訪問先の工場は歴史的に薩摩焼とも関係が深く韓国屈指の工場であった。製品の中に亀壷を見つけたので鹿児島ではこの様な壷を使って黒酢を作る旨の話をすると、社長は鹿児島で使われている形状・サイズを質問した。それから数ヶ月が経過したある日電話があり「今あなたが言っていた黒酢用亀壷の見本を作って下関に着いた。これから鹿児島までタクシーで持って行く」との事。韓国訪問の際は単なる情報交換でしかなく購入の意志表示もしなかったにも拘らず、見本をタクシー運賃7万円をかけて持ってくるその積極性に脱帽した。その時は成約しなかったが暫くしてその企業とは取引を行っている。
韓国企業との取引で感じることは、前述の例に限らず積極性が有るので他国より楽である。質問事項に対する早い回答、品質に対する理解度の深さ、ビジネスにおける信用の大切さ理解、納期の厳守など価格の次に重要視するファクター全てを満足させてくれる国である。再検討されては如何でしょうか。
(貿易ニュース鹿児島2005.1月号掲載)

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