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その4

当協会の理事で,弓場貿易株式会社社長の弓場秋信氏による,すぐに役立つワンポイント貿易アドバイス!

その4

弓場秋信氏貿易を創業したころ名刺を出すと「千に3つ」ですねと言われた。それは何ですかと尋ねると、貿易と不動産は、引き合いは沢山あるが実際それが成約と成ると「千に3つ」とのこと。この業界に入って間もない私はその事を体感するまでには至っていなかったが、その内にその言葉の重みを実感するようになった。
鹿児島から洋食器を含む焼き物を輸出しようと各国のダイレクトリーやJETRO、各種貿易機関、銀行等が発行する月刊貿易引き合い情報を取り寄せ、洋食器や焼き物を輸入したい企業を見つけ手紙を出し、胸をときめかせながら返事が来るのを待った。暫くして発送先の約10%から来た返事の殆どは、提案した商品に興味がない旨の内容であったが、一通だけ洋食器を買いたいからすぐに見本が欲しいとの事。早速メーカーから見本を購入して数万円を払って航空便で送った。いつ注文が来るかと待っていたが、何の返事もない。ある時JETROの通商弘報に、アフリカにはサンプルコレクターがいるので注意しなさいとの記事が出ていた。
貿易の相手先は世界中至る所に存在し、国内商売と比較すると無限の可能性を持っているように感じる。また自分から連絡しなくても世界各国から売りや買いの手紙、FAX、インターネットが届く。全ての引き合いに可能性を予感し、調査・販促活動を行っていると、時間と経費を使い事業の成功がおぼつかないことを実感する。まさに「千に3つ」の世界である。
成功の確率を高める為には、様々な引き合いやアイデアの成約可能性・確率を判断する目利きを養うことが求められる。それには文面の顔、内容、世界の政治経済の動き、地域のニーズ等に対する感性を高め、引き合いに対して行動を起こす前の事前の選別が大切である。
(貿易ニュース鹿児島2002.12月号掲載)

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