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その26

当協会の理事で,弓場貿易株式会社社長の弓場秋信氏による,すぐに役立つワンポイント貿易アドバイス!

その26

弓場秋信氏10月25日から30日までタイとマレーシアで開催された貿易協会主催の海外ビジネス商談会に参加した。事前に鹿児島より提出した商談希望品目を基に、両国の貿易機関を通じて申し込みされた地元企業との商談を、26日にバンコックで、28日にクアラルンプールのホテルで行なった。タイでの商談は全て輸出を希望する企業との商談であったがマレーシアでは3分の1は輸入希望業者で、両国の経済状況を反映した形となった。2ヶ所で40社と商談を行なう過密スケジュールの中で訪問以前にコンタクトし商談を進めていた企業以外とは今後商談継続に値するかの絞込みの作業を行なった。それは多くの国内外からの輸出入の引合いに対し、全てに対応する事は時間と経費の負担増となるからである。
輸出の場合、商談相手の見極めは輸出商材あるいはその関連商材の取扱経験、日本との実積、自国での販路、支払方法そして商いに対する考え方・取組姿勢などを元に判断する。その中で私が最も重要視するのは支払方法と商いに対する姿勢である。今回も商談に見えたバイヤーが支払方法は船積後60日の送金でとの条件を提示した。それを拒否すると、半金前送金で残りを船積後の送金でと言われたが、取り消し不能のL/Cか前送金は譲れない条件とした。売りたいがために日本国内と同じような考えで信用売り(売掛け)方式にすると、殆どが後で代金回収不能に陥る。国を超えてのビジネスは考え方の違いから思わぬ誤解が生じたり、クレーム処理がスムーズに行われず損害を被る事もあるので商談中の言葉や態度、通信のやり取りの中で信頼に値する相手か判断する。また最初からsole-agent(その地域での独占輸入販売権)を要求する業者がいるのでその付与に当たっては慎重な対応が必要である。独占輸入販売権の条件を提示し少なくとも1年の実績を見てからの契約が望ましい。そうしないと契約先の販売力が弱い場合新たな輸入先を探せないからである。
輸入の場合は、立場を変えて前述の「輸出の場合」を読んで頂ければと思いますので省略しますが、取引先の国の選択が最も大切ではと思います。求める商品を日本市場に最も優位な条件で提供できる国は何処なのか、様々な角度から検討して1-2カ国に絞る作業から始めるべきと思います。
(貿易ニュース鹿児島2004.11月号掲載)

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