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その30

当協会の理事で,弓場貿易株式会社社長の弓場秋信氏による,すぐに役立つワンポイント貿易アドバイス!

その30

弓場秋信氏貿易はロット(取引数量)が大きいので在庫や販路を考えると二の足を踏む、との声を良く聞く。海上輸送はコンテナ貨物が主流になり、コンテナ1本当りでの運賃表示となる。しかしコンテナに満たない貨物(混載)の取引は出来ないのかと言うとそうでもない。そこで今回は混載について書いてみたい。

海上コンテナには、常温と温度管理可能(冷凍、低温)な2種類があり、長さでは20と40フィート、通常の高さより高いHQそして上部が開放できるオープントップがある。この中から貨物により使用するコンテナが選ばれる。混載貨物の場合は常温(ドライ)コンテナ以外の使用は難しいので、温度管理が必要な貨物は数量が少なくてもコンテナ1本使用する事となる。
混載貨物(CFSカーゴ)の海上運賃は容積(m3)で計算される。20フィートコンテナの内容積は27m3で、1m3当りの海上運賃がコンテナ1本当りの27分の1であればコストの事を考えずに自由に混載を使用できる。しかし通常は約11m3でコンテナ1本分の運賃支払いとなる。また混載の貨物を引き受ける輸出港、或いは輸入港が少ないので事前の確認が必要になる。神戸港は殆ど全ての国の貨物を受けるが地方港では少ない。それは混載と言えども、複数の荷主の貨物をコンテナに入れて運ばないと採算が合わないからである。ですから時にはコンテナが一杯になるまでその貨物が港で留め置きされる場合もある。以上の事に留意しながらトータルコストの計算をして混載を検討する。
混載の活用として考えられるのがまず輸出である。日本からの輸出は付加価値の高い商品が多いので経費を吸収できるケースが多い。また輸入者にとってもCFS貨物での輸入はリスクが少なくてすむ。前述のごとくコンテナ単位による貨物(CY)とCFSでは係る経費が異なるので見積もりは、CYとCFSを併記して顧客の選択肢を広げて上げる事が望ましい。また輸入に関してもコストは高くなるが、少量で品質・販路を調査する手段として有効である。
(貿易ニュース鹿児島2005.3月号掲載)

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