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日本ガス㈱

会員者情報

企業名 日本ガス株式会社
所在地 鹿児島市中央町8-2
電話 099-255-1181
名前 代表取締役社長 中間 兼市 氏

インタビュー(貿易ニュース鹿児島2004,3月号掲載)

代表取締役社長 中間 兼市 氏

九州新幹線鹿児島中央駅前にある日本ガス株式会社を訪問した。
 中間兼市社長、安田斉取締役、内野智彦総務グループ長にお会いした。
 同社は鹿児島市で明治42年に創業した鹿児島ガスK.K.を前身とし、昭和3年に日本水電株式会社に引き継がれ、同社にあったガス部門が昭和16年に独立して、日本ガス株式会社が設立された。現在鹿児島市を中心に約15万戸に都市ガスを供給している。
 都市ガスは、家庭用エネルギーとして、また産業用、空調用のエネルギーとして幅広く利用されている。
 日本ガス株式会社は、原料の長期安定確保・ガスの燃焼性能の統一・環境に優しいクリーンエネルギーの推進等を目的として、国が20年ほど前から取り組んでいたエネルギー政策における天然ガス事業に、約15年前から参入し、鹿児島市の1号用地にLNG(液化天然ガス)基地を建設、インドネシア国営石油会社と20年間の長期契約を締結し、平成8年から天然ガスを輸入している。
 ところで、日本は世界最大のLNG(液化天然ガス)輸入国であるが、その輸入量は年々増加している。日本のLNG受け入れ基地は、国内に25カ所あり、九州には鹿児島にある日本ガス基地のほか、北九州、博多、長崎、大分の5カ所にある。
 谷山にある日本ガスの基地のLNG(液化天然ガス)貯槽は容量36,000㌔㍑で、今使用しているLNG運搬船2隻分が貯蔵できるぐらいの容量である。LNGは液化したガスなので、貯槽は魔法瓶のような2重構造になっており、-162℃の超低温のLNGを貯蔵する。その隣接地には将来に備え、50,000㌔㍑の貯槽の増設工事(平成17年秋竣工予定)が進行中である。
 あちこちでよく見る丸いガスタンクは、球形ガスホルダーといい、液化しているLNGを気化させて600倍のガス体に戻し、熱量調整を行い、最終製品となった天然ガスが蓄えられている。
 日本ガスでは、スリヤアキ〔安芸〕とスリヤサツマ〔薩摩〕という2隻のLNG運搬船を、広島ガスと共用で運用している。(インドネシア語でスリヤは太陽の意味)インドネシアのカリマンタン(旧ボルネオ島)のボンタン基地から、月1回LNGを積み出し、片道は5~6日、積み込みと荷揚げには1日ずつかかるため、結局約2週間かけてガスを運んでくることになる。
 天然ガスは-162℃の超低温で1/600に冷凍圧縮して液化し、不純物を除き運んでくる。こうすると大量の天然ガスを容易に運べ、また簡単に気化して使うことが出来る。
 鹿児島基地は南九州で唯一のLNG受入基地と位置付けられており、鹿児島県内、宮崎県内の陸上輸送には、13.3㌧の日本一大きいコンテナタンクローリーをはじめ、10㌧車、6㌧車など15~6台を使用している。タンクローリーで運んだLNGは現地のサテライト基地でガス体に気化し、パイプライン等で最終ユーザーに送り込んでいる。
 天然ガスは都市ガスの原料として使われているが、都市ガスの使用比率は家庭用が4割、工業用・商業用等業務用で6割となっている。これをユーザーの比率で見ると5~6%が事業用、95%が家庭用となっている。
 最近の傾向として、家庭用のガス利用が伸びなくなっている。家庭で料理をしなくなったのが原因と考えられる。反対に外食産業は伸び、業務用は増えてきている。
 また、電気とガス、ガスと石油と、各エネルギー間の競争が激しい。
 調理器一つとっても、ガス調理器と電磁調理器が競争している状況だ。
 そこで、新しいガスの利用法として、「エコウィル」という家庭用のガス発電・給湯暖房冷房システムを最近売り出した。「エコウィル」は自宅で発電しながら、お湯を作る家庭用コージェネレーションシステム(一つのエネルギーから複数のエネルギーを取り出すシステム)である。家庭で発電するので、購入する電力を大幅削減するとともに、発電時の排熱を給湯・暖房に利用するので光熱費が大変得になる。お湯と電気を同時に作るので、エネルギー効率は85%と非常に高く、省エネルギーにも貢献できる。クリーンな天然ガスを使うので環境にも優しいシステムというわけである。
 日本ガスとしては、今後このシステムの普及に力を入れて行きたいと考えている。
 最後に、高カロリーの天然ガス(13A)の導入は都市部を中心に全国的に進んでいるが、日本ガスは、これに歩調を合わせ、日本全国どこに転居されても同じガス器具を使用できるように,天然ガス(13A)へのガス種転換作業を終了した。
 今後共、いかにしてお客様に天然ガス利用を採用していただけるか、保安、サービス、料金面など総合的に勘案して、選んでもらえるようにしなければならないと考えている。
 
 後日、中間社長の特別のお計らいで、谷山港にある日本ガスLNG基地を見学する機会を得た。初めて眼前に見る球形ガスホルダーやLNG貯槽は圧巻であった。それにもまして万全の保安、防災対策には驚いた。さすが南九州唯一のLNG基地である。
 当日はインドネシアからモス型LNG船「スリヤアキ」号(2万㌧)が到着し、まさに荷揚作業中であった。同船を運行する(株)商船三井の御好意で同船に乗船させていただいた。弘中健治船長から御案内いただいたが、同船はモス型としては最新鋭の小型LNG船ということで、保安・安全対策や設備が充実していることには感心した。それにしても地上7階位に相当する操船室からの眺望は素晴らしいものであった。日本ガス株式会社のますますの御発展を期待したい。
 (貿易ニュース鹿児島2004.3月号掲載)

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