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寄稿

上海鹿児島線就航5周年及び中日国交正常化35周年記念事業リポート

上海鹿児島線就航5周年及び中日国交正常化35周年記念事業リポート

鹿児島県かごしまPR課 片野坂 昭彦

去る8月25日(土)~28日(火),中国東方航空の鹿児島・上海線就航5周年及び日中国交正常化35周年記念として,知事を団長とする総勢100名の訪問団が上海を訪れました。上海では,上海市政府や中国東方航空,関係機関を表敬訪問し,鹿児島・上海線の増便や相互交流などについて要請したほか,県酒造組合連合会と連携し,本県の特産品である焼酎の商談会やPRイベントを実施しましたので,報告します。
今回の訪問団は,知事,県議会議長,県商工会議所連合会会長のほか,県酒造組合連合会,県特産品協会,県漁業協同組合連合会,電通九州,マスコミ(KKB,MBC,読売新聞),JTB旅館ホテル連盟,県関係者など総勢約100名となりました。
8月27日(月),上海の日系ホテルである花園飯店において,県の特産品である本格焼酎の海外市場開拓の推進を図るため,商談会を通じて積極的な販路の拡大を図るとともに,上海市民に本格焼酎の美味しさや楽しみ方などについて理解を深めてもらい,県産食品の消費拡大を目的に,商談会,セミナー,レセプションの3部構成で県,県酒造組合連合会,県特産品協会,県漁業協同組合連合会の共催事業として実施しました。

「鹿児島県本格焼酎・県産食品商談会」は,県内の酒造会社13社と県漁連,菓子,さつま揚げのメーカーなど計16社が参加しました。商談会には,本格焼酎(芋・麦・米・蕎麦・黒糖など)60銘柄のほか,ブリ・トビウオ・キビナゴ・タカエビの刺身・カツオのたたき等の水産物,さつま揚げ,ハローキティかるかんなどの菓子が出展されました。

上海鹿児島線就航5周年及び中日国交正常化35周年記念事業リポート

出展者:さつま無双,濵田酒造,小正醸造,西酒造,薩摩酒造,山元酒造,田苑酒造,大口酒造,若潮酒造,岩川酒造,小鹿酒造,高崎酒造,弥生焼酎,県漁連,有村屋,馬場製菓
会場では,焼酎製造工程のPRビデオを上映し,焼酎や県産品の展示,試飲をしながらの商談会となりました。原料や麹など焼酎の違いに熱心に耳を傾けるバイヤーが印象的であり,刺身やさつま揚げ,菓子の試食も大変好評でした。日本料理店を中心に30社53名の上海バイヤーが来場し,140件の商談が行われました。
上海は,日本にとって最大の貿易国である中国の表玄関として,今後,輸出が期待される魅力ある大きな市場です。県内の酒造会社が集まって商談会を実施するのは初めてのことであり,本格焼酎をはじめとする県産食品の大きなPRになったと思います。

上海鹿児島線就航5周年及び中日国交正常化35周年記念事業リポート

「本格焼酎セミナー」は,県酒造組合連合会,県との共催により,本格焼酎の特徴や楽しみ方を小売店や飲食店,上海市民の方々などに理解していただくことを目的に開催されました。県酒造組合連合会評議員の濵田雄一郎氏を講師に迎え,「世界の蒸留酒『本格焼酎』,その魅力と愉しさ」と題した講演が行われました。
「芋焼酎の原料であるサツマイモ(鹿児島では「唐いも」という)は,実は中国から伝わってきており,中国が非常に身近に感じられる」と始まった講演は,聴講しながら,実際に試飲してもらうという趣向を凝らしたものでした。番号が付された焼酎コップが全座席のテーブルに準備され,白麹・黒麹・黄麹の芋焼酎,黒糖焼酎など,麹の種類が異なる焼酎や水で割った焼酎を実際に試飲しながら,「麹菌(白麹・黒麹・黄麹),麹(米・麦・いも),蒸留方法(減圧・常圧)等の違いによって,焼酎の味や香り等が色々変化するのが本格焼酎である」という解説に,参加者はそれぞれのコップに口をつけながら,時には首を傾け,本格焼酎の特徴や魅力を実感していたようでした。特に,「中国の蒸留酒『白酒(パイチュウ)』では行わない,『酒を割る』飲み方が一般的であり,アルコール濃度をワインと同程度としても味が崩れず,湯・水・ロック等様々な楽しみ方ができる飲み物が『本格焼酎』である」ことが理解されたように思います。

上海鹿児島線就航5周年及び中日国交正常化35周年記念事業リポート

また,中国では最近,健康志向が高まっていることから,「本格焼酎の特徴の一つに,血液をさらさらにする血栓溶解酵素の活性化能力が赤ワインの2倍も高く,他のアルコール飲料より健康的であり,日本では高い評価が得られ,特に近年は若い女性にも好んで飲まれている」「蒸留酒としては極めて稀な食中酒で,ワインと同じように食事とともに楽しめ,特に中華料理との相性は抜群に良い酒であるので,中国の女性の皆さんにも是非飲んで欲しい」と,本格焼酎は健康に良く,中華料理と合う飲み物であることを講演され,本格焼酎のイメージアップが図られたのではないかと思います。 
最後に,「鹿児島の芋焼酎は,『薩摩』焼酎として,ボルドー,コニャックのように,WTOのTRIPS協定に基づく『地理的表示』が認められ,今後,ウィスキーを始めとする五大蒸留酒に並ぶ,『世界の蒸留酒』として将来性の高い魅力的な蒸留酒である」ことを紹介し,講演を終えました。
セミナーには,上海の飲食店関係業界誌や日本料理店等に配布したチラシなどにより公募した上海市民や在上海の日本人など約100名が参加し,熱心に聞き入っていました。セミナー受講後のアンケートでは,鹿児島の本格焼酎を今後,飲んでみたいという声が多く,特に,「健康に良く飲みやすい」「飲み方のバリエーションが多い」点が人気のようでした。また,今後,中国の方に鹿児島の本格焼酎をもっと飲んでいただくための取り組みとして,「TVCM,広告をどんどんやって欲しい」「上海のスターに飲んでもらいトレンドにする」「大手中華料理店に置いてもらう」等の意見も寄せられました。

上海鹿児島線就航5周年及び中日国交正常化35周年記念事業リポート

上海の締めくくりとして,上海鹿児島線就航5周年及び中日国交正常化35周年記念「中華料理と焼酎の夕べin上海」を開催しました。
会場の正面ステージには,本県の本格焼酎を代表する103銘柄の焼酎瓶が展示され,来場者の目を引きつけていました。開会に先立って,知事や来賓の方々など8人がステージに並び,「チェスト(鹿児島弁で“それいけ”の意)」の大きな掛け声で盛大な鏡開きを行い,かごしま色のアピールができたと思います。
それぞれのテーブルには,各蔵元の焼酎が置かれ,参加者の話題に花を添えていました。会場一角に用意された試食用の「さつま揚げ」は,瞬く間になくなり,会場にずらりと並んだ各蔵元の焼酎バーでは,参加者一人ひとりに合わせた飲み方(お湯割り・水割りなど)を聞きながら,焼酎の楽しみ方や魅力,おいしい飲み方を丁寧に説明するなどして,参加者に振る舞っていました。焼酎バーは,おかわりを求める方,各銘柄の説明を詳しく聞く方,どうやったら手に入るかを聞く方など,最後まで賑わっていました。
また,焼酎やさつま揚げ,かるかんなどの県産品が当たる抽選会も行いました。県酒造組合連合会の吉野副会長が番号を発表するたびに会場のあちこちで歓声が上がるなど,上海の方々に大変喜ばれるイベントとなったようです。
レセプションは,上海市人民政府副秘書長をはじめ,旅遊事業管理委員会,港口管理局,外事弁公室などの市政府幹部に加え,在上海日本国総領事館,JETRO上海,JNTO上海,上海市内旅行社や焼酎セミナーに出席された方など,上海側約100名,鹿児島県側60名の計約160名が参加して大盛況に終わり,本格焼酎の魅力を十分にPRできたのではないかと思います。

上海鹿児島線就航5周年及び中日国交正常化35周年記念事業リポート

上海市政府や現地の飲食店関係や一般市民の方々などと焼酎を通じた交流を行うことで,本格焼酎が健康に良い等の特徴や中華料理との相性の良さ,焼酎の美味しい飲み方等を総合的に紹介することができ,本格焼酎をはじめとした県産食品の認知度の高まり,海外市場開拓に繋がるものになったと思います。
鹿児島銀行上海事務所の西田所長をはじめ,多くの皆さんに御協力をいただきました。この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

上海鹿児島線就航5周年及び中日国交正常化35周年記念事業リポート

九州との縁

九州との縁

江蘇省中小企業日本代表処 首席代表 塗家飛

九州との縁今年3月から江蘇省政府の駐日経済貿易の首席代表として、福岡事務所で働きはじめました、塗家飛です。私は、かつて鹿児島県の平成14年度の海外技術研修青年として、鹿児島県貿易協会で研修しておりました。今でも鹿児島での研修生活や綺麗な景色、人のやさしさが心に残っており、本当に懐かしく思います。2003年2月に中国に帰国してからは、江蘇省政府の経済貿易委員会で、対日経済交流の担当者として勤めていました。そして、この春に再度来日して現在の職に就き、これから鹿児島県貿易協会の元研修生として、鹿児島県貿易協会の会員の皆様に中国ビジネスに関しできるかぎり協力していきたいと思っております。

現在、中国は日本にとって第一の貿易相手国であり、中国にとって日本は第三の貿易国です。このように経済分野においてなくてはならない相手であるだけでなく、地域的にも永遠の隣人ですから、両国国民の利益のために経済交流を大切に守らなければならないと思います。江蘇省はGDPと海外貿易の総額が中国各省のなかで第2位ですが、海外からの投資額はトップになっています。九州と江蘇省は両国間で最も近い地域であり、貿易や経済交流の規模をさらに拡大し、またその基盤をより強固なものにしていくことを目指して、江蘇省は福岡から鹿児島までを中心とする九州との交流窓口を開設することになりました。双方の企業やビジネスなどの交流を支援していくため、江蘇省の駐福岡代表処は江蘇省省内のビジネスパートナーを積極的に紹介し、よい情報やサービスなどを提供していきたいと思っております。もし、双方の企業が相手側の市場へ進出したいという場合は、私も精一杯案内します。
例えば、現在鹿児島産の焼酎が中国の一部で人気がありますが、これを販売したい会社がありましたら江蘇省のよい代理商を紹介いたします。また、江蘇省の企業が廃プラや廃棄の電機などを輸入するため、日本のビジネスパートナーを探すことがあります。このような場合には経済交流のかけ橋として、精一杯努力していきたいです。

福岡へはこの春に来たばかりですが、来て間もない頃に福岡地震が発生し、余震もしばらく続き、このような大規模な地震の体験がない私は本当にびっくりしました。江蘇省からは中国へ一時
的に帰国してもよいという指示があり、私はこの時期に帰国すべきか否かも含め、落ち着いて、いろいろなことを考えてみました。私の日本での任期は3年間あります。江蘇省での安定的な仕事や生活から離れ、また両親とも離れ、単身赴任で福岡へ来て代表処を始めた時期は、仕事も生活も研修生の時とは違い、いろいろな手続き等も一人でこなさなければならず、慣れるまでは本当に大変でした。そんな時桜島と一緒に暮らしていらっしゃるたくましい鹿児島の方々のことを思い出し、だんだん元気になってきました。そして、自分が3年という期間の中でできるかぎり中日双方の経済交流の促進のために力を尽くしていこうと思いました。

鹿児島での研修に続き、今回の福岡での駐在の機会を与えられ、私は九州に縁を感じます。会員の皆様、どうかよろしくお願いします。

駐日代表処(事務所)の連絡先:
〒810-0001 福岡市中央区天神1丁目4-2 エルガーラ7階 江蘇省中小企業日本代表処
電話とFAX番号:092-431-3035
携帯電話番号:090-9651-1116
E-mail:tokahi20023@yahoo.co.jp

タイ・マレーシアの県人会からのメッセージ

海外商談会の事前調査のため,8月2日(月)から6日(土)にかけてタイとマレーシアへ行ってまいりました。その際お会いした県人会の会長さんからメッセージが届きましたのでご紹介します。

タイ鹿児島県人会 会長 萩原 清登 氏

吉田町出身でバンコクで不動産会社を経営

タイ国での新年会

タイ鹿児島県人会 会長 萩原 清登 氏いも焼酎が用意され,「あたいァ,お湯割りで, たのもんで…」
「じゃっとなァ,おやっとさァぐぁした」
「さしかたぶいじゃった」なんとにぎやかなこと。
この時ばかりと,かごっま語が飛び交っています。私たちのふるさと鹿児島。愛国心ならぬ,郷土愛。そんな感じが溢れる中で,お互い懐かしい話が続きます。

・今日この頃
タイに点在する鹿児島のゆかりの人たちを何とかして有機的な結びつきに出来ないか,そんなことで,名簿づくりに着手しています。

・8月3日
鹿児島県貿易協会の橋口氏,平氏,県商工政策課の元山氏が来タイされ,私たち幹事がお逢いしました。10月実行予定の,平成16年度海外商談会(タイ・マレーシア)の準備中とのことです。正直,何のお手伝いができるかわかりません。
でも,少しでも郷土とつながる事柄,うまくゆくと良いがと,思っています。

・「おじゃいやしたもんせ」
鹿児島にゆかりのある人は,100人を超すようです。タイについて,知りたいこと,何なりとお尋ね下さい。
 メールアドレス sales@siamkotobuki.com 萩原 清登(Kiyoto HAGIWARA)

・「よかにせ会」
バンコクの鹿児島県人会の下部組織として,懇親を兼ね,奇数月の第4土曜日にゴルフコンペを実施しております。
このときも,「ナイスショットじゃったなぁ~」「今日は,まこちやっせんがお」・・・とかのかごんま弁が,飛び交っております。
もちろん,パーティーでの芋焼酎での話もはずみます。
もし,来タイの折り,時間のあっ人は,連絡下さい。
メールアドレス nishino@jftbkk.com  西野 千博(Chihiro NISHINO)
メールアドレス k.oyama@calbee.co.th 大山 勝也(Katsuya OYAMA)

クアラルンプール県人会 会長 坂元英郎 氏

鹿児島市出身でクアラルンプール近郊でゴルフ場 KL Kajang Hill Golf Club を経営

”クアラルンプール鹿児島県人会”ができて10年になります。私のマレイシア在住も10年をすぎ,県出身の最年輩者ということで県人会の会長をしています。会員数は約30人。会の特別な規約などはありませんが,県出身者はもちろん,鹿児島に行ったことのある人,鹿児島を好きなひとなどが会員となっています。

会員は自営業の方,商社,メーカー,ホテルなどに勤務している方などそれぞれです。新しい会員の紹介や帰国者の送別会など,いろいろな機会をとらえてはKL市内のレストランに集まり,焼酎を飲みながらお互いの近況を語り,情報交換をやっています。

これまでは郷里の方々との交流はほとんどありませんでしたが,今年に入ってから急に鹿児島からマレイシアへの来訪者が増えてきました。
2月には鹿児島ガーデンゴルフクラブの会員20数人が来マされ,KL市内の観光とゴルフを楽しんでおられました。
7月には鹿児島県マレイシア友好協会(弓場秋信会長)主催の ‘鹿児島おはら祭り in Melaka’ がマラッカで行われました。
はるばる鹿児島から参加された120人もの方々と現地の人々がおはら節と踊りをとおして交流し,たいへんな盛況でした。
久しぶりに聞く’花はきりしま’のメロデイと鹿児島言葉に目頭が熱くなりました。

8月には県貿易協会から現地マーケット調査のため,県庁の橋口さん,平さん,元山さんたちがKLに来られました。これにひきつづき10月にはKLで鹿児島県の商談会が開かれることになっています。

マレイシアは平和で穏やかな国です。マレイシアの人々も穏やかで特に日本人に対しては敬愛の気持ちをもっているように思います。このようなマレイシアに郷里の方々が目を向け,さまざまな活動をとおして交流を深めている近況に,たいへん心強く思うと同時にKL県人会でも何かお役に立てることがあればと願っています。

おわりに一言。鹿児島ではゴムのことを’ギッタ’といいます。ギッタは他の県では使われていないようです。実はマレー語でゴムのことを ‘GETAH’ =グッタと言います。鹿児島とマレイシアが古くから交流があった証ではないかと思っています。

【KL Kajang Hill Golf Club】のホームページ (www.kajanghill.com)

クアラルンプール県人会 会長 坂元英郎 氏

7月24日マラッカにて 坂元県人会長<写真中央>

モスクワより

日本貿易振興機構(ジェトロ)モスクワ出張所 代表 村上 久

鹿児島の皆さま、дравствуйте!(ズドラーストヴィチェ:「お早うございます/今日は/今晩は」すべてに使える便利なロシア語の挨拶の言葉です。)
ジェトロ・モスクワ出張所代表の村上と申します。私は1998年11月から2001年8月までの約3年間、ジェトロの鹿児島貿易情報センターに勤務しており、皆さまには大変お世話になりました。
爆弾事件、大型レジャー施設の崩落事故など、暗い話題ばかりのロシアですが、拡大する景気は衰える気配を見せません。最近では、新たなビジネスチャンスを探しに自分の目でロシアを見に来たという出張者の方々が増えていますが、ほとんどの方が想像よりも遥かに良かったと感想を述べられています。

<キャビアはイクラ?>
さて、皆さまはロシアでの生活についてどのような印象をお持ちでしょうか? パンを買うための行列は大げさにしても、あまり豊富に商品が流通していないとお考えではないでしょうか。

モスクワ市街
モスクワ市街

恥ずかしながら私も赴任する前までは、食料にも事欠く生活を想像していました。しかし、実際にはスーパーやブティックなどのお店が建ち並び、ありとあらゆるものを手にすることが出来ます。例えば、スーパーの品揃えは、生鮮食料品売り場が少々物足りないタイヨーと言えば、ご想像頂けるでしょうか。さすがに生鮮は日本には適いませんが、南方のコーカサスや中央アジアを含む旧ソ連諸国から届く食料品はとても豊富です。トマト、キュウリ、ジャガイモはもとより、お米、長ネギ、ほうれん草、果ては各種ハーブにキノコ類、夏には驚くほど安く美味しいスイカやメロンも出回ります。
また、川魚や冷凍もの、燻製が中心ですが、ロシア人もしっかりと魚を食べます(美味しい魚は日本に送られてしまうとのこと)。お酒のおつまみにロシア製のさきイカもありますが、これは極東の漁師が日本から持ち帰ったのが始まりとされています。飽きるほど食べることができると想像していたイクラは、残念ながら新鮮なものは日本に輸出されてしまい、モスクワに届くのは大抵がビン詰め、カン詰めです。ご存知かもしれませんが、イクラは「魚卵」を意味するロシア語。いわゆる日本語のイクラは「赤いイクラ」、同じくキャビアは「黒いイクラ」と呼ばれています。モスクワ市内で100グラム強のビン詰めの小売値が、それぞれ約600円(イクラ)、約10,000円(キャビア)とこちらでも高嶺の花です。

<ロシア人は日本好き?>
モスクワでは、空前の日本食、寿司ブームと言われています。一説には、日本食レストランだけで200件以上が開業し、メニューに寿司があるレストラン、バーは数え切れないほどです。恰幅の良いロシア人が器用に箸を使いこなす様は、今では当たり前に見られる光景です。値段はピンからキリまでで、デフレ傾向の日本より割高です。味はご想像にお任せしますが、日本人の板前さんのいないレストラン(これがほとんど)では、どうしてもロシア風になってしまうようです。また、日本食レストラン用の和風内外装品、小物、回転寿司の設備、さらには寿司ロボットに至るまで、様々な引合いもあります。
ブームの背景としては、ロシア人が新しいもの好きであること、健康志向の高まり、お洒落なイメージ、元来からの米食文化等々が挙げられますが、根底には「日本に対する非常に良い印象」があるのではないかと思います。ソ連時代には、工作機械を始めとして各種日本製品が輸入され、品質が良く耐久性も高いことから現在でも大事に使用している光景を目にします。またソ連崩壊以降は、自動車や家電製品など身近な商品が多く輸入されていることもあり、一般消費者にとって日本のモノは良いというイメージが確立されているようです。
これだけ流行している寿司ですが、そのネタのほとんどがヨーロッパ、そしてアメリカから輸入されてきます。運良くハマチを口にする機会に恵まれた時などは、ニューヨーク経由で遠路遥々モスクワまで辿り着いたのではないかと鹿児島に思いを馳せたりします。日本からモスクワまで直行便で8時間程度ですから、本当はニューヨークやロンドンよりも近いのです。

<ロシア人も緑茶を飲む?>
ロシア人は実に良くお茶を飲みます。ある統計では、一人当たりの茶葉の消費量が、アイルランドに次いで世界で2番目に多いそうです。(イギリスは嗜好が多様化し近年減少。)アイルランドの人口がおよそ400万人、対するロシアの人口が同じく1億4,500万人ですから、ロシアの消費量は相当なものです。主に紅茶が中心ですが、砂糖をたっぷりと入れて、日本の緑茶と同じように一日に何度も飲みます。紅茶にジャムを入れるロシアンティーという飲み方を耳にされた方もいらっしゃると思いますが、ロシアのメニューにはありません。たまに、ジャムあるいはハチミツを小さなスプーンですくい取って、舐めながら飲むことがありますが、大抵は砂糖にミルク、またはレモンを入れます。
さて、ロシア人は主に紅茶を飲むと書きましたが、緑茶を飲む習慣もあります。ソ連時代には、緑茶はコーカサス地方のグルジアで盛んに栽培されていましたし、現在も中国、スリランカ、ベトナムなどから年間6,500トンあまり輸入しています。(2002年度)

ロシア初の日本茶専門店
ロシア初の日本茶専門店

ロシアでは、レストランなどの飲み物はすべて有料であり、日本食レストランも例外ではありません。当然ながら、緑茶を中心に提供しているのですが、たとえ日本茶を謳っていてもジャスミン入りであったり、レモン入りであったりと、日本人には理解できないものばかりです。これらが100ルーブル(およそ400円)前後で売られているのですから驚きです。そして日本食レストランだけでなく、新規開店が相次ぐカフェにおいても、同様の値段で緑茶が販売されています。
そこでジェトロモスクワでは、美味しい日本茶をモスクワの人々にも知ってもらおうと、静岡県と共同で日本茶のプロモーションを実施しました。昨年は食品関連の見本市に出展したほか、プレゼンテーションを開催したり、企業訪問などを通じてPRを行いましたが、「今まで飲んだ事がない爽やかな味」と概ね好評です。見本市出展や企業訪問などを通じた引合いも寄せられており、今後、具体的なビジネスに結びつくことも期待されます。鹿児島茶のファンである私としては、鹿児島のお茶をモスクワで楽しめる日を心待ちにしています。

最後に、ロシアの景気の良さを表すアネクドート(皮肉を含んだロシア独特の小咄)とロシア関連ビジネスに役立つウェブサイトをご紹介します。

【アネクドート】
◎お金は捨てるほどある・・・
(日の出の勢いのニューリッチが、メルセデス・ベンツの最高級モデルを買いに来た。)
ディーラー :「失礼ですが、3日前に同じモデルをお買い上げになったばかりではありませんか。」
ニューリッチ:「そうなんだ。しかし、灰皿が一杯になってしまったから・・・」 

【ロシア関連ビジネスお役立ちウェブサイト】
<経済・ビジネス>
・ジェトロ「~知られざる振興市場~ロシア・中央アジア・コーカサス」
http://www.jetro.go.jp/se/j/russia/
・ジェトロ「海外情報ファイル」
http://www.jetro.go.jp/jetro-file/
・ジェトロ「海外簡易情報照会・委託調査・外国企業信用調査」
http://www.jetro.go.jp/se/j/jousa/keizai04.html
・経済産業省「対外経済政策総合サイト・ロシア」
http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/rus_nis/russia/index.html
・北海道庁国際課ロシア室「ロシアビジネス情報館」
http://www.pref.hokkaido.jp/soumu/sm-tksai/russia/r-spro/database/rbdb/
・社団法人ロシア東欧貿易会
http://www.rotobo.or.jp
・米国商務省NISビジネス情報(英語)
http://www.bisnis.doc.gov

<治安・旅行>
・在ロシア日本大使館「モスクワ安全滞在マニュアル」
http://www.ru.emb-japan.go.jp/japan/anzen/anzen.html
・エコノミスト「シティーガイド・モスクワ」(英語)
http://www.economist.com/cities/citiesmain.cfm?city_id=MCW

<マスコミ>
・モスクワ・タイムズ紙(英語)
http://www.themoscowtimes.com
・イタル・タス通信(ロシア語・英語)
http://www.itar-tass.com
・ラジオ・フリー・ヨーロッパ・ラジオリバティー(英語)
http://www.rferl.org

村上氏へのご質問等は下記までご連絡ください。

【ジェトロ モスクワ】
Hotel “Slavjanskaya”, South wing, Entresol floor, Berezhkovskaya Nab.2, Moscow, 121059, Russian Federation
TEL:+7(095)-941-8866/ FAX:+7(095)941-8869/ E-mail:murakami@jetro.ru

タイ・ベトナム経済ミッションに参加して

タイ・ベトナム経済ミッションに参加して

鹿児島中央青果株式会社 常務取締役 中馬 正裕

鹿児島中央青果株式会社 常務取締役 中馬 正裕タイは、東南アジアにあって、政治・経済情勢が安定している国であり、また、フルーツを始め熱帯特有のバラエテイに富んだ食品や、伝統的なタイシルク、雑貨など、特異な産品を数多く有している。

また、ベトナムは経済改革・開放政策を進めており、既に日本はベトナムにとって最大の貿易相手国となっている。また日本国内では、ベトナムの食品・雑貨、衣料のブームが起こるなど、こんご益々の経済交流の発展が期待されている。
このような状況の中、県貿易協会からタイ、ベトナム経済ミッションの募集があり参加した。
当社は、鹿児島市中央卸売市場で青果の卸売り業を営んでいる.。近年生鮮青果物の輸入も年々増加傾向にある。

経路は、鹿児島―ソウルーバンコクーホーチミンーソウルー鹿児島であり、鹿児島発着のためタイ・ベトナムが非常に身近に感じられた。

21日~22日 バンコクでは丁度APEC首脳会議開催中で、町並みは割りと整理され犯罪・テロ対策がなされていた。
タイでの楽しみとしていた本場での果実の味であったが、ホテルで出されていたものは総じて完熟度が低く期待はずれの感があった。露店で買い求めたランブータン・バナナ・青ぎりみかんに似たタンカン味の柑橘は旨いと感じた。
商談会はバンコク国際貿易展示場で行われた。商談会に先立ちジェトロバンコクの巴氏よりタイの経済事情について説明がなされた。
タクシン政権による国内需要振興策 その中でも農家所得の向上に向けて農家の借金3年間凍結、ピープルズバンクによる無担保による融資、等々である。これらの策により倹約から消費への経済動向となり、車・携帯電話は好調とのこと。
尚今回の商談会は初めてのことであり具体的な商談はできなかったが同行した他業者の動き、又商談の進め方について実地勉強となった。その後展示場で開催されていた国際ギフトハウスウエア・市中繁華街にあるバンナーブ市場・翌日再度商談会とバンコク伊勢丹等の市場視察をおこなった。恥ずかしながら日本の伊勢丹は見たこともないため市場視察とはおこがましい気がする。陳列・品数も豊富で洗練された印象を持った。
23日~24日 ホーチミン市ではアオザイを身にまとった多数の女性の往来を想像していたが、町中バイクの洪水でその多さには感動的でもあった
省エネを実行していると思えば、地球に優しい・環境に優しい交通手段であり、この部分では省エネ先進国であろう。

商談会は宿泊ホテルで行われた。商談会に先立ち商工労働部次長海外投資アドバイザーの市川氏より説明がなされた。

今、ベトナムへの投資が積極的に行われている。その理由として ①中国重視の投資だけでは不安である。人民元の価値が実態より安く設定されていることから来る不安。長い目で見ると政治的・経済的・社会的にリスクがあること。取引に問題が隠されている中で常に金は要求される。これらにより中国プラスワンとしてベトナムが上がっている。 ②日本ではこれ以上のコストダウンはできない。主にこの2つの理由によりベトナムへの進出が盛んになっているとのことであった。その後個別商談会がなされたが生鮮青果物については安全・安心・輸送等を確認し、慎重にやる必要を感じた。

その後市場視察を行ったが、ドンコイ通りにあるベンタイン市場は日常品で溢れんばかりの活気を呈していた。
ドンコイ通りにあるベンタイン市場次に国営の工業団地に、日本からの進出企業としてあのたこ焼きで名を売っている八ちゃん堂があり、工場見学をした。ここでは日本の種・栽培技術でナスを栽培し、それを焼きなすとして急速冷凍し、日本向けに輸出している。
一日3~4トンの処理とのこと。青果物を扱っている身としては考えさせられた。              

今は雨季の終わりの気象とのこと。突然の雨に打たれても市場もバイクも何事もなく動いている。そういえばホテルや街路に大きな鉢物の木がよく目に付いた、水やりは大変だろうと思ったのは余計な心配、省エネ雨が降ってくる
日常業務をはなれ、異業種の方々との海外での商談視察は私にとって見るもの聞くことが新鮮であり、又職業柄 日本の食料供給熱量自給率40%の中でアジアとのかかわりをどうしていくの改めて考える機会と成った。
機会を作って再度行きたいものである。

鹿児島に来て

鹿児島に来て

韓国全羅北道庁自治体職員協力交流研修員 崔 洪烈(チェ ホンヨル)

韓国全羅北道庁自治体職員協力交流研修員 崔 洪烈(チェ ホンヨル)こんにちは!
私は韓国全羅北道から参りました崔 洪烈と申します。今年5月26日に日本に着きまして,7月初旬まで佐賀県にある研修施設で日本語研修を受け,7月10日から来年2月初旬まで,鹿児島県庁で業務研修を受けることになっております。経済大国である日本に来て,自分の業務に関する研修を受けられることを光栄に思います。

私は現在,韓国全羅北道庁投資通商課に所属しております。約20年前,全羅北道沃溝郡庁の公務員として働き始め,今まで総務,予算,税制,経済などの業務を担当してきました。
家族は妻,娘一人,息子二人がおり,妻は専業主婦,娘は高校二年生,息子二人は中学生と小学生です。豊かな生活とは言えないまでも,円満な家庭生活を送っております。

日本に来て最初は,食べ物,文化,気候や言葉の違いにより多少苦労もありましたが,関係機関や職員の方々の親切で暖かい配慮により,今では日常生活にも慣れ,安定した生活を送っています。

9月には鹿児島県商工政策課で研修しましたが,商工会議所,貿易協会など多くの経済関連団体及び企業などを訪問・見学する機会を得ました。その度に各機関の方々から優しい心配りをいただき,心から感謝しております。
商工政策課での研修後は,同じ経済部署である工業振興課,中小企業課,観光課でも研修を受けることになっております。

鹿児島は自然が豊かで,街がきれいに整備されている美しいところだと思います。鬱蒼とした森の木々,至る所に広がる青い海,街を飾る椰子の木など,南国の趣に溢れています。優しくて親切な人々はいつもまわりに迷惑をかけないよう配慮し,余裕を持って自分の生活を楽しんでいるように見えます。特に,「すみません」「ありがとうございます」などの言葉をよく口にするにこやかな姿が印象に残ります。

鹿児島は地理的に日本本土の最南端に位置し,海と面しており,韓国や中国まで飛行機で1~2時間くらいで行けるなど,東南アジアへの進出にとても有利な地域で,この地理的な利点を生かせば,ますます発展できるものと期待しています。

最後に,全羅北道と鹿児島県は両道・県の発展のための友好協力に関する共同宣言に調印して以来,各分野での交流事業を活発に行っています。何よりも,経済部門に関する事業がより活発になり,世界の中心に位置付けられる両道・県になればと思います。

私もこれから頑張って,日本の文化や知識を学び,微力ながら自国での仕事に反映させていきたいと思います。皆さんどうぞよろしくお願いします。

中国ビジネスの現状と未来

中国ビジネスの現状と未来

中国江蘇省経済貿易委員会(元貿易協会研修生) 塗 家飛  

現在、世界経済のグローバル化の進展が著しく加速化し、地域経済協力がよりいっそう緊密化されることにより、東アジア各国経済の相互連携と共同繁栄へと発展しています。中国のWTO加盟はさらに市場を開放し、西部大開発や民営化などにとっても大きな可能性を秘めています。一方、今年は『中日平和友好条約』締結25周年です。9月から日本人の訪中が15日間以内の場合、短期ビザを取らなくてもいいので 、両国交流は便利になると思います。一衣帯水の近隣である日本は地理的優位な位置にあるので、協力の分野を広げ、協力の深度を深め、規模をいっそう拡大すると同時に、協力の質を高めていくことが望まれます。中国は日本の経験や技術、資金などの援助が必要で、両国の協力空間は非常に広いと思います。そこを狙って日本の多くの企業が中国進出を目指しています。

現在九州の地場企業の進出先は地理的な近さから見て、上海を中心とした長江デルタ地区の周辺に集中していく傾向がますます顕著になっています。今年2月に私は帰国して、江蘇省の南部で日本企業5社の誘致を担当してきました。今年の半年だけで中日貿易総額も604億ドルを超えました。現在中国ビジネスは本当に盛んになっているのを実感しました。中国市場への進出の動機と言えば、コスト面での国際競争力を挙げようという狙いと、それとは別に、中国国内市場で物が売れるという期待があるため、あるメーカーが進出すると、そのメーカーに対して部品や素材などを供給するメーカーがそれを追って中国進出をする、という現状があります。

最近長江デルタの日系企業のアンケート調査によると、7割以上の会社は経常利益が『増加』したと回答しており、今後の事業展開について『規模拡大』の意向を持つ日系会社が7割を占めています。一番経常利益が増加した日系製造業企業には生産-輸出のタイプがあります。中国市場販売の割合の高い企業には、売掛金の回収難や模倣品などの問題が少しあり、今後もこうした傾向が当分の間続くことが懸念されています。でも、今後中国の経済法規がさらに完備されることが期待できるので、売掛金の回収難や模倣品などの問題はだんだん減少していくと思われます。

中日の文化や習慣、言葉、価値観などの相違も日系企業の経営問題の一つです。ただ、毎年中日交流訪問の人数は300万人以上、日本人の中国へ留学者数も年に1万5千人、中国にいる外国留学生の1/3は日本人の留学生です。中国の日系企業は日本への留学経験を持つ中国人と中国で留学したことがある日本人をよく採用しているため、会社の中でのスタッフと管理者のあつれきもおそらく小さくなっていき、両国の国民理解も深くなって行くと思います。

今年江蘇省だけで国営企業282社以上を売却したいと考えています。このような工場や、そこでの労働者、また一部市場など持ってる企業を買うことは、新たに投資するよりも大きな利点があります。これは中国のWTO加盟後、中国投資のさらなる大きな機会です。今世界の有名な多国籍企業が空前の勢いで中国に進出し、積極的に対中投資を行なっていることによる影響も非常に大きく、今後グローバル化戦略から対中投資をおこなう日本企業がますます増加するであろうことが考えられます。

今後、中国市場は日本中小企業が自由に成長している一つの「舞台」になっていくと思います。一方、中国からの対日投資が日本経済の振興へ関与しているという現状もあります。
以上のようなことから、中日両国は効果的な地域経済協調体制や緊密なアジア太平洋経済実体などをつくり、共に協力してアジア太平洋地域での経済の持続的安定成長を促進させていくべきだと考えています。

ミュンヘンより

日本貿易振興機構(ジェトロ)ミュンヘン事務所 所長 新井 俊三

日本貿易振興機構(ジェトロ)ミュンヘン事務所 所長 新井 俊三ジェトロ・ミュンヘン事務所所長の新井です。私は1997年5月から2000年6月までの3年2ヶ月、同じくジェトロの鹿児島貿易情報センターで所長をしており、皆様には何かとお世話になりました。今でも桜島や焼酎がなつかしく思い出されます。

<気候変動?>
さて、今年の日本は冷夏のようですが、こちら欧州は久々の、あるいは場所によっては観測史上最も熱い夏を迎えております。日本でも報道されているかもしれませんが、ポルトガル、スペイン、イタリアやフランスなどでは山火事があったり、あるいは暑さと水不足のせいか、夏なのに一部樹木の葉が落ちてしまい、道路に枯葉がたまり、そこだけ見ると秋のような光景も出現しています。水不足は農作物にも影響を与えており,野菜、果物の不足、値上がりが心配されていますし、それは一面では農家の収入源という問題でもあります。
日本ですと、暑い夏はクーラーの売れ行きがよかったり、ビールやジュースあるいは夏物衣料がよく売れるということで、景気にプラスに働くようですが、ドイツではどうもそうではないようです。もともと夏は、2~3週間の休暇を取る人が多く、経済活動も不活発になってしまうのが常ですが、異常気象に見舞われたとはいえ、特にあわててクーラーを買うこともなさそうで、これによりどこかが潤うということもあまりありません。暑さゆえ儲かっているのは、アイスクリーム屋さんとビール会社、それとビアガーデンぐらいなものです。それとすぐには結果はわからないのですが、これだけ暑いとワインのできもいいはずで、2003年もののワインがどのような味になるか、今から楽しみです。
こちらは冬の寒さが厳しいせいか、暖房はしっかりしていますが、冷房については建物が古ければ事務所でも設置されてないところも多く、まして家庭にはほとんどありません。少し暑いぐらいだと、ベランダですごしたり、あるいはビアガーデンに出かけてしまったりで、家にクーラーをつけようなどとは思わないのでしょう。
冬の寒さの厳しさと太陽がすくないことから、少しでも暖かく、またお日様がでると、ドイツ人は散歩をしたり、日光浴をしますが、レストランでも庭や歩道にイスをならべ、客は外で食事をするようになります。当地の関係者の話では、夏は日本レストランにとって儲からない季節のようで、もともとバカンスで地元の人はどこか保養地に出かけているし、残っている人も天気がよければビアガーデンに行ってしまい、レストランの室内で食事をしようなどというひとは例外なのだそうです。
今年は異常な暑さだったのですが、昨年のドイツの夏は異常な雨、洪水に見舞われました。これも100年ぶりとか、歴史始まって以来とかでした。洪水の被害にあったのは、チェコから旧東ドイツを通って、ハンブルグから北海に注ぐエルベ川流域と、こちらは被害が少なかったのですが、ドナウ川沿いの一部でした。エルベ川やドナウ川のような大河になると、豪雨で水量が増えても、下流にまで影響が出るのは時間がかかります。きょうはこのあたりの堤防が決壊したから、明日は下流のあの町が危ない、というふうにテレビでも毎日報道されておりました。
ミュンヘンに北側を流れるドナウ川も水量が増し、流域のレーゲンスブルグやパッサウという町も日本でいえば軒上浸水のような被害がでました。たまたま今年の7月にパッサウに行く機会がありました。この町はドナウ川とイン川、それとイルツ川という3つの川が合流する町としても有名なのですが、ドナウ川沿いの家の壁には過去の歴史的な洪水の水位が記されておりました。
大洪水と猛暑と2年続いて異常気象に見舞われ、果たして来年は何が起こるのであろうかと心配です。

<ドイツ人にも人気の町、ミュンヘン>
私が住んで、仕事をしている町、ミュンヘンはドイツ南東部の町です。ドイツは連邦制をとっており、東西ドイツ統一後は16の州から構成されておりますが、その1つの州、バイエルン州の州都でもあります。人口が約130万人。
日本ですと、「ミュンヘン、札幌、ミルウォーキー」というビール会社のコマーシャルにもあったようにビールの町として、あるいは2002年日本・韓国のワールドカップ・サッカー大会で活躍したキーパー、オリバー・カーンが所属するサッカー・チーム、バイエルン・ミュンヘンの所在地として知られているのかもしれません。
ここは産業でみると、電機メーカー、ジーメンスあるいは自動車メーカーBMWの本社があり、アリアンツという大きな保険会社もあります。近年は先端技術産業にも力を入れており、ITの町、バイオの町としても有力になってきました。ドイツ全体の失業率が約10%という中、バイエルン州は6%台であり、経済も好調です。
南に位置することから、日照時間も多く、少し南に行けばアルプスがあるため、夏は登山に冬はスキーにとレジャーにも恵まれております。市内には2つのオペラ劇場やコンサートホールもあり、美術館、博物館も多く、文化都市でもあります。こうしたミュンヘンのよさに引かれて、ミュンヘンで仕事につきたい、大学に通いたいというドイツ人も多く、その結果でしょうか、人が集まりすぎて住宅不足になっており、家賃も他のドイツの大都会と比較すると高くなっています。
ミュンヘンはまた観光の町でもあります。バイエルン州がまだ小さな王国であったころ、城作りに異常な執念を燃やしたルードヴィッヒ2世という王様がいまして、この王様が残してくれた城のお陰で、日本をはじめ外国から大勢の観光客がバイエルン州を訪れています。

カール門

<オクトーバー・フェスト>
ビールの町、ミュンヘンを代表する催し物といえばやはりビール祭り「オクトーバーフェスト」です。文字どおり訳すと10月祭りなのですが、9月下旬から約2週間開催されます。元はといえば、1810年当時の皇太子ルードヴィッヒ1世とテレ-ゼ姫との成婚を祝ったのが始まりといわれ、今年で170回目を迎えます。毎年国内ばかりでなく、世界中からビール・ファンが押し寄せるため、ホテルは取りにくく、値段も通常の倍ぐらいに跳ね上がります。
会場となるミュンヘン市内のテレージエンヴィーゼ広場には、5000人から1万人を収容できるビール会社特設のビヤホールが10以上建設され、そこが連日満員となります。通常ビヤホール内で売られているビールは1リットル入りで、量はありますが、そこは会場の熱気でなんとなく飲めてしまうものです。ビヤホールのまわりには、ジェットコースターや観覧車、お化け屋敷も登場し、子供も楽しめる遊園地ともなります。
初日となる土曜日にはビール樽を積んだ馬車の行列があり、会場に到着したビール樽に市長さんが栓をつける儀式があります。翌日の日曜日には民族衣装をまとった様々な団体の行列も行なわれます。
昨年の記録を見ると、入場者数が延べ約590万人、飲んだビールが約5760万リッター、食べた鶏約45万羽などとなっております。

<蒸留酒の人気は世界的>
ビールの国ドイツでは、今年の暑さで消費量は伸びていて、ビール会社は喜んでいるのですが、長期的に見てみるとビールの消費量は減少傾向にあります。ドイツのビール業界の問題は、メーカーの数が多く、それだけ個々の企業の経営規模が小さいということです。日本の地酒メーカーと似たようなところがあります。ドイツには1200ビール会社があり、5000のブランドがあるといわれています。ビールの味は新鮮さが勝負ですから、いわゆる地ビールのような小型の装置で作り、それを隣接のレストランで提供することで評価されるとか、あるいは郷土愛に訴えて地元のビールを飲んでもらうということもありますが、国際化が進む中、オランダやベルギーの大手ビール・メーカーに買収されていくケースも増えています。
日本では何度目かの焼酎ブームであると聞いております。世界的に見てもどうも蒸留酒の消費が伸びているようです。焼酎も蒸留酒なのでしょうが、蒸留酒といえばウイスキーやブランディー、ウォッカ、テキーラなどそれぞれの地域に独特の蒸留酒があります。ドイツにも一般にはシュナップスとよばれる蒸留酒があり、原料はとうもろこしであったり、穀物であったりしますが、さくらんぼや木いちご、あんずなども使っており、これらは酒として飲んでも原料の風味があります。
ドイツにおける蒸留酒の人気は、カクテルのベースとして使われてることからくるようで、何かと混ぜることによりアルコール濃度を薄くできることも魅力のようで、この点鹿児島の焼酎の飲み方とは違うようです。

歩行者天国

新井氏へのご質問等は下記までご連絡ください。 
<ジェトロ ミュンヘン>
JETRO,Munchen Promenadeplatz 12, D-80333 Munchen Germany
TEL : ++49-89-2908420 FAX:++49-89-29084289
e-mail:arai@m.jetro.de

海外新市場レポート 中国義烏(ぎう)市場の歩き方

中国義烏(ぎう)市場の歩き方

鹿児島相互信用金庫 外国為替課長 村田 秀博

鹿児島相互信用金庫 外国為替課長 村田 秀博アジア最大の日用品雑貨卸市場の街としてにぎわっている中国浙江省義烏市場を紹介します。 義烏市は上海から南へ300km農村地帯に囲まれた人口65万人の地方都市です。ここに数万軒の卸業者がひしめき、取扱う日用品雑貨は10万点、1日に平均15万人のバイヤーが国内外から訪れます。昨年主に輸出商品を取扱う福田市場がオープンしてから特に注目されています。NHKでも2度特集が組まれ、うち1回は私達のミッションが「経済最前線」で放映されました。
義烏市場は20棟ほどの専門市場ビルとまわりを取り巻く無数の小店舗より成り立っています。地元の人は「飲食店以外はすべて問屋」という表現をよく使います。ここの一番の特長は低価格かつ小ロット多品種で仕入が出来ることです。ボールペン1本5円・巻尺15円・軍手1ダース90円・電動自転車6千円などです。アクセサリー、工芸品・バッグ類が特に有名です
市場は福田市場・小商品城市場・皮革市場・家具市場・衣料品市場・文具市場・化粧品市場・眼鏡市場・通信市場・電器市場などがあります。中でも下記市場は必見です。         
義烏市内風景

義烏市内風景
義烏市内風景

福田市場(中国義烏国際商貿城)

2002年10月開業。次代の義烏の中心を担う近代的市場です。約5千店が出店しています。営業面積60万平方㍍。第2期~3期工事に取り掛かっています。
取扱商品:玩具・アクセサリー・造花・インテリア・店内装飾品・水晶その他

福田市場
福田市場

福田市場正面ホール
福田市場正面ホール

福田市場ブース
福田市場ブース

小商品城市場

1992年開業。義烏で筆頭にあげられる市場です。約8千のブースがひしめき活気にあふれています。営業面積50万平方㍍。販売されている商品は多種多様です。
取扱商品:金物全般・履物・鞄・文具・計算機・アクセサリー・紙製品・帽子・傘・電動スクーター・ ポット・木工品・竹製品・プラステック製品・造園用品・電気製品その他

小商品城

小商品城
小商品城

皮革市場

小商品城の前の皮革製品専門通り。バッグ店ほか数百店が軒を並べています。小商品城の3階も皮革市場です。

アクセスほか

・鹿児島から上海までは空路1時間半です。上海よりは高速道路で3時間半、鉄道利用で4時間です。航空機は14時上海着ですので16時台の武昌行か福州行の急行に乗れます。軟座で100元位です。浦東・義烏間は航空機も飛んでいますが週に2便(日・水)でアクセスは良いとは言えません。
・義烏で一番良いと言われているホテルは4つ星の銀都酒店です。小商品城の隣で行動に便利かつリーズナブルな商城賓館もお勧めです。商売客が多いのでホテルにはほとんどの部屋にパソコンが 置いてあります。また、銀都の中華レストランが義烏では一番おいしいと言われています。
銀都酒店(YINDU HOTEL) TEL:86-579-5558888  1泊500元
商城賓館(SHANG CHENG HOTEL)TEL:86-579-5458888  1泊300元

銀都酒店
銀都酒店
・市場間の移動は人力三輪車が便利です。高くても10元位です。台数が少なく不評だったタ クシーはバイヤーの増加に伴い現在200台増の680台が許可になっています。
・日本語通訳は不足気味です。義烏では1日500元位です。上海・杭州から連れて来る方も多いようです。
・市場が広いので携帯電話があったら便利です。義烏では日本の携帯電話は使えない機種があります。私は上海で1000元で購入しました。プリペイドカード方式です。

注意事項
・義烏市場をすべて視察すると少なくとも1週間以上かかります。
2~3日でまわる時のお勧めコースは、福田市場~小商品城~皮革市場~家具市場です。
・小ロット多品種の仕入をする為には、商品を取りまとめる仲介業者が必要になります。販売業者は商品を仲介業者の倉庫まで持って行きます。仲介業者がコンテナに仕立てます。
・主に中級品を扱っている市場ですので、不良品を少なくする為検品が必要になる場合があります。
・日本の10分の1の価格の商品もありますが、あまり安すぎる物を仕入れると失敗します。プロの眼力が特に必要な所です。
・日本人はまとまった数量を輸入する場合、市場のブースで商品を見つけ、その後生産工場に直接出向き買付けする事が多いようです。
・アクセサリーほか小物類は面白いものが散見され好評です。商品リサーチの場所としては最適です。
(1中国元=15円・本文中の金額は本年3月現在のものです)

文具市場

文具市場
文具市場

家具市場
家具市場
義烏市場は活気に満ちあふれています。がむしゃらだった数十年前の日本の姿を思い出させる所です。訪れるだけで元気がわいてくる義烏にご興味のある方はお気軽に弊金庫外国為替課までお問い合わせ下さい。

地図
<鹿児島相互信用金庫 外国為替課>
鹿児島市泉町2番3号
TEL:099-223-5111  FAX:099-222-4732
Email: sosin.sns@kasosin.com

上海より

上海より

(財)日中経済協会上海事務所  所長 﨑岡 洋右

公共交通カードに見る施行体制の問題
東京ではJRがスイカ(カード)で利用客が電車に乗れる。しかしこのカードはJRでしか使えない(現在他の交通機関でも一部使用できるようだ)。ところが上海では鉄道(地下鉄も含む)、バス、タクシー、船に共通して使用できるスイカのようなカードがある。中国語では「公共交通」と言うが、その前に上海の地名を付けて「公共交通」としている。このカードを持っていると日常どの交通手段にも使用できて大変便利である。カードに入れた金額がなくなると、地下鉄等の駅のキップ売り場でいつでも希望する金額を入れれば一枚のカードで継続使用が可能である。JRのスイカがまだ一部の交通手段にしか使用できないが、上海ではすでに述べたように鉄道、地下鉄、バス、タクシー、船と上海市のすべての交通手段に利用できるのである。この差はなぜだろうか。技術的な差であろうか。いやそうではない。技術的な面では、この程度のものでも日本の方がよほど上である。そう考えるとその原因はカード利用実施を施行する体制の問題ではないかと考える。
中国は良くも悪くも一党独裁の国家であり、政府の決定は異義が挟めない。上海の市政府でも同じだ。上海市の決定事項は例え、いくばくかの反対があっても即座に実施されるのである。日本の場合は国及び地方行政でも国や行政体の意志が実施に移されるまでのプロセスは難航する例が多い。更に企業や団体の利益及び組織が多様化すればするほど、一つの事で多くの関係先があればあるほど、決定しにくい状況となる。民主主義を維持することは時間も金もかかる厄介さを我慢しなければならないことを痛感する。

国の発展の原動力は国の体制が時には有利になることも
今上海の発展はテレビやニュースメディアに連日紹介されている通り、目を見張るものがある。上海の発展の大きな原動力は各国の投資等による資本の導入によって支えられていることはもちろんのことであるが、発展計画を実施に移す市政府なり、中央政府の強力な指導を見逃すことはできない。日本における東京等大都市を含む全国の都市改善計画がいっこうに進まなかったり空港の滑走路建設に多くの年月をかけている例を見るにつけても民主主義を守ることの高コストという面を考えざるを得ない。だから社会主義がいいと言っているわけでは決してないが、上海の日々発展の早さと都市整備の早さを見ると、日本の現状と比較し、少々のあせりを感じるしだいである。
上海ではしばらく見ない所が、ある日行くと突然なくなり、新しい建物が出来たり、公園や道路に早変りする光景は日常茶飯事である。みるみる都市計画は推行していくのである。都市計画ばかりではなく、経済発展に必要な多くの分野の事柄がどんどん進められいく様を見ると時には一党独裁もすてたものではないという考えがする。この分でいくと日本が発展にかけた時間の三分の一の時間で上海の発展は達成されるのではないかと思われる。最近の住宅建設、オフィスビル、道路の拡充等の光景を見せられると、その感を強くする。

2010年後は大丈夫か
上海は今2010年の万博開催をめざして都市整備を含めて改善の努力に余念がない。おそらく更らなる発展を我々はこれからも見にすることにだろう。しかしながら、日本の例を考えると、発展過程では応々にして、それにのみ主力が注がれて、影の問題点に目がとどかないものだ。日本のバブル崩壊後の惨状を見るにつけ、また上海の今の発展の促進力の強さを考えると、その力が強ければ強いほど、後々に生じるであろう問題の大きさを心配したくなる。上海の経済は前述のごとく基本的には外資導入に支えられての発展である要素が強い。今後の世界経済の動向も上海の発展に大きく影響することを考えると、2010年後もこのままの発展が可能かどうか疑問のあるところである。一部の上海人はこの点を理解しているものの、多くの上海人及び外国人は上海の発展を享受し、楽観している向きもあるようだが、上海を愛する者としては何か心配の今日この頃である。

(財)日中経済協会上海事務所連絡先:
中華人民共和国上海市延安西路2201号 上海国際貿易中心大厦2001号
電話:86-21-62701647 FAX:86-21-62752211
(筆者は1994年7月~1997年7月までジェトロ鹿児島貿易情報センター所長として勤務)

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