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コラム

中国ビジネスの現状と未来

中国ビジネスの現状と未来

中国江蘇省経済貿易委員会(元貿易協会研修生) 塗 家飛  

現在、世界経済のグローバル化の進展が著しく加速化し、地域経済協力がよりいっそう緊密化されることにより、東アジア各国経済の相互連携と共同繁栄へと発展しています。中国のWTO加盟はさらに市場を開放し、西部大開発や民営化などにとっても大きな可能性を秘めています。一方、今年は『中日平和友好条約』締結25周年です。9月から日本人の訪中が15日間以内の場合、短期ビザを取らなくてもいいので 、両国交流は便利になると思います。一衣帯水の近隣である日本は地理的優位な位置にあるので、協力の分野を広げ、協力の深度を深め、規模をいっそう拡大すると同時に、協力の質を高めていくことが望まれます。中国は日本の経験や技術、資金などの援助が必要で、両国の協力空間は非常に広いと思います。そこを狙って日本の多くの企業が中国進出を目指しています。

現在九州の地場企業の進出先は地理的な近さから見て、上海を中心とした長江デルタ地区の周辺に集中していく傾向がますます顕著になっています。今年2月に私は帰国して、江蘇省の南部で日本企業5社の誘致を担当してきました。今年の半年だけで中日貿易総額も604億ドルを超えました。現在中国ビジネスは本当に盛んになっているのを実感しました。中国市場への進出の動機と言えば、コスト面での国際競争力を挙げようという狙いと、それとは別に、中国国内市場で物が売れるという期待があるため、あるメーカーが進出すると、そのメーカーに対して部品や素材などを供給するメーカーがそれを追って中国進出をする、という現状があります。

最近長江デルタの日系企業のアンケート調査によると、7割以上の会社は経常利益が『増加』したと回答しており、今後の事業展開について『規模拡大』の意向を持つ日系会社が7割を占めています。一番経常利益が増加した日系製造業企業には生産-輸出のタイプがあります。中国市場販売の割合の高い企業には、売掛金の回収難や模倣品などの問題が少しあり、今後もこうした傾向が当分の間続くことが懸念されています。でも、今後中国の経済法規がさらに完備されることが期待できるので、売掛金の回収難や模倣品などの問題はだんだん減少していくと思われます。

中日の文化や習慣、言葉、価値観などの相違も日系企業の経営問題の一つです。ただ、毎年中日交流訪問の人数は300万人以上、日本人の中国へ留学者数も年に1万5千人、中国にいる外国留学生の1/3は日本人の留学生です。中国の日系企業は日本への留学経験を持つ中国人と中国で留学したことがある日本人をよく採用しているため、会社の中でのスタッフと管理者のあつれきもおそらく小さくなっていき、両国の国民理解も深くなって行くと思います。

今年江蘇省だけで国営企業282社以上を売却したいと考えています。このような工場や、そこでの労働者、また一部市場など持ってる企業を買うことは、新たに投資するよりも大きな利点があります。これは中国のWTO加盟後、中国投資のさらなる大きな機会です。今世界の有名な多国籍企業が空前の勢いで中国に進出し、積極的に対中投資を行なっていることによる影響も非常に大きく、今後グローバル化戦略から対中投資をおこなう日本企業がますます増加するであろうことが考えられます。

今後、中国市場は日本中小企業が自由に成長している一つの「舞台」になっていくと思います。一方、中国からの対日投資が日本経済の振興へ関与しているという現状もあります。
以上のようなことから、中日両国は効果的な地域経済協調体制や緊密なアジア太平洋経済実体などをつくり、共に協力してアジア太平洋地域での経済の持続的安定成長を促進させていくべきだと考えています。

その12

当協会の理事で,弓場貿易株式会社社長の弓場秋信氏による,すぐに役立つワンポイント貿易アドバイス!

その12

弓場秋信氏国内での商談でも食事を伴うことがあるが、海外での商談は国内以上に食事を一緒にする機会が多い。それは相手がバイヤーで無く売り込みでも海外からの訪問客として持て成す。食事だけなら思考能力も落ちることなく会食中もビジネスの話が進められるが、酒が入るとそうも行かない。シンガポールを輸出商談で訪問した時の事である。
当時マレイシアに中古輸送機器の輸出を行なっていた。その輸入者がシンガポールの友人も欲しがっているのでコンタクトしてはと紹介してくれた。信用の置ける人であろうとは思ったが、一回も会ったことの無い人と取引をする訳だから当然のことながら代金決済条件はL/C(信用状)或いは注文と同時に前送金とした。相手はL/C決済でなく前送金方式を選んだ。それは輸入者が輸出者に対して不安を持たなければ、送金が銀行に支払うトータルの経費が安くて済むからである。
輸出代金の決済に最も広く使われるL/Cの発行は、輸入者にとっては銀行からの融資枠確保、銀行手数料の支払い、L/C決済までの金利の発生、為替変動リスクなどが生じる。もし輸出者の承諾が得られるならば、国内取引同様に商品受領後の支払いがベストである。もちろんその他の決済方法もあるので、輸入に当って品質・価格・納期で問題が無ければ支払方法の交渉となる。
一回目の輸出が終わり別件でのシンガポール訪問を機に、新バイヤーを訪れた。初対面であったが最初の注文に満足したと見え、商談もスムーズに進み二回目の受注となった。その後中華料理店に招かれ、美味しい料理に酒が加わり話も大いに盛り上がり幸せ気分に浸っていた時、相手から支払方法について提案があった。「前送金やL/Cでなく船積後の後送金にして貰えないだろうか?」ほろ酔い気分の中、面と向かって信用して欲しいと言われ了解してしまった。二回目注文の船積後、送金依頼をしてもなかなか入金がされず全額回収までは到らなかった。
商談の中で相手は様々な球を投げてくる。緩急織り交ぜての直球・各種変化球を繰り出し選球眼を観察しながら、自分にとって有利な配球の組み立てを考える。私への配球は、前送金(貴方を信用していますよ)→ 二回目の注文と歓待(感激)→ 後送金の提案(宴席・面前・日本人の性格)→ 支払い遅延。 私は術中にはまって三振である。通信による商談は考える時間が有るが、海外を訪問しての交渉事は、その瞬間が真剣勝負となるので、酒がはいった時は人間交流に留めた方が賢明なようだ。
(貿易ニュース鹿児島2003.9月号掲載)

ミュンヘンより

日本貿易振興機構(ジェトロ)ミュンヘン事務所 所長 新井 俊三

日本貿易振興機構(ジェトロ)ミュンヘン事務所 所長 新井 俊三ジェトロ・ミュンヘン事務所所長の新井です。私は1997年5月から2000年6月までの3年2ヶ月、同じくジェトロの鹿児島貿易情報センターで所長をしており、皆様には何かとお世話になりました。今でも桜島や焼酎がなつかしく思い出されます。

<気候変動?>
さて、今年の日本は冷夏のようですが、こちら欧州は久々の、あるいは場所によっては観測史上最も熱い夏を迎えております。日本でも報道されているかもしれませんが、ポルトガル、スペイン、イタリアやフランスなどでは山火事があったり、あるいは暑さと水不足のせいか、夏なのに一部樹木の葉が落ちてしまい、道路に枯葉がたまり、そこだけ見ると秋のような光景も出現しています。水不足は農作物にも影響を与えており,野菜、果物の不足、値上がりが心配されていますし、それは一面では農家の収入源という問題でもあります。
日本ですと、暑い夏はクーラーの売れ行きがよかったり、ビールやジュースあるいは夏物衣料がよく売れるということで、景気にプラスに働くようですが、ドイツではどうもそうではないようです。もともと夏は、2~3週間の休暇を取る人が多く、経済活動も不活発になってしまうのが常ですが、異常気象に見舞われたとはいえ、特にあわててクーラーを買うこともなさそうで、これによりどこかが潤うということもあまりありません。暑さゆえ儲かっているのは、アイスクリーム屋さんとビール会社、それとビアガーデンぐらいなものです。それとすぐには結果はわからないのですが、これだけ暑いとワインのできもいいはずで、2003年もののワインがどのような味になるか、今から楽しみです。
こちらは冬の寒さが厳しいせいか、暖房はしっかりしていますが、冷房については建物が古ければ事務所でも設置されてないところも多く、まして家庭にはほとんどありません。少し暑いぐらいだと、ベランダですごしたり、あるいはビアガーデンに出かけてしまったりで、家にクーラーをつけようなどとは思わないのでしょう。
冬の寒さの厳しさと太陽がすくないことから、少しでも暖かく、またお日様がでると、ドイツ人は散歩をしたり、日光浴をしますが、レストランでも庭や歩道にイスをならべ、客は外で食事をするようになります。当地の関係者の話では、夏は日本レストランにとって儲からない季節のようで、もともとバカンスで地元の人はどこか保養地に出かけているし、残っている人も天気がよければビアガーデンに行ってしまい、レストランの室内で食事をしようなどというひとは例外なのだそうです。
今年は異常な暑さだったのですが、昨年のドイツの夏は異常な雨、洪水に見舞われました。これも100年ぶりとか、歴史始まって以来とかでした。洪水の被害にあったのは、チェコから旧東ドイツを通って、ハンブルグから北海に注ぐエルベ川流域と、こちらは被害が少なかったのですが、ドナウ川沿いの一部でした。エルベ川やドナウ川のような大河になると、豪雨で水量が増えても、下流にまで影響が出るのは時間がかかります。きょうはこのあたりの堤防が決壊したから、明日は下流のあの町が危ない、というふうにテレビでも毎日報道されておりました。
ミュンヘンに北側を流れるドナウ川も水量が増し、流域のレーゲンスブルグやパッサウという町も日本でいえば軒上浸水のような被害がでました。たまたま今年の7月にパッサウに行く機会がありました。この町はドナウ川とイン川、それとイルツ川という3つの川が合流する町としても有名なのですが、ドナウ川沿いの家の壁には過去の歴史的な洪水の水位が記されておりました。
大洪水と猛暑と2年続いて異常気象に見舞われ、果たして来年は何が起こるのであろうかと心配です。

<ドイツ人にも人気の町、ミュンヘン>
私が住んで、仕事をしている町、ミュンヘンはドイツ南東部の町です。ドイツは連邦制をとっており、東西ドイツ統一後は16の州から構成されておりますが、その1つの州、バイエルン州の州都でもあります。人口が約130万人。
日本ですと、「ミュンヘン、札幌、ミルウォーキー」というビール会社のコマーシャルにもあったようにビールの町として、あるいは2002年日本・韓国のワールドカップ・サッカー大会で活躍したキーパー、オリバー・カーンが所属するサッカー・チーム、バイエルン・ミュンヘンの所在地として知られているのかもしれません。
ここは産業でみると、電機メーカー、ジーメンスあるいは自動車メーカーBMWの本社があり、アリアンツという大きな保険会社もあります。近年は先端技術産業にも力を入れており、ITの町、バイオの町としても有力になってきました。ドイツ全体の失業率が約10%という中、バイエルン州は6%台であり、経済も好調です。
南に位置することから、日照時間も多く、少し南に行けばアルプスがあるため、夏は登山に冬はスキーにとレジャーにも恵まれております。市内には2つのオペラ劇場やコンサートホールもあり、美術館、博物館も多く、文化都市でもあります。こうしたミュンヘンのよさに引かれて、ミュンヘンで仕事につきたい、大学に通いたいというドイツ人も多く、その結果でしょうか、人が集まりすぎて住宅不足になっており、家賃も他のドイツの大都会と比較すると高くなっています。
ミュンヘンはまた観光の町でもあります。バイエルン州がまだ小さな王国であったころ、城作りに異常な執念を燃やしたルードヴィッヒ2世という王様がいまして、この王様が残してくれた城のお陰で、日本をはじめ外国から大勢の観光客がバイエルン州を訪れています。

カール門

<オクトーバー・フェスト>
ビールの町、ミュンヘンを代表する催し物といえばやはりビール祭り「オクトーバーフェスト」です。文字どおり訳すと10月祭りなのですが、9月下旬から約2週間開催されます。元はといえば、1810年当時の皇太子ルードヴィッヒ1世とテレ-ゼ姫との成婚を祝ったのが始まりといわれ、今年で170回目を迎えます。毎年国内ばかりでなく、世界中からビール・ファンが押し寄せるため、ホテルは取りにくく、値段も通常の倍ぐらいに跳ね上がります。
会場となるミュンヘン市内のテレージエンヴィーゼ広場には、5000人から1万人を収容できるビール会社特設のビヤホールが10以上建設され、そこが連日満員となります。通常ビヤホール内で売られているビールは1リットル入りで、量はありますが、そこは会場の熱気でなんとなく飲めてしまうものです。ビヤホールのまわりには、ジェットコースターや観覧車、お化け屋敷も登場し、子供も楽しめる遊園地ともなります。
初日となる土曜日にはビール樽を積んだ馬車の行列があり、会場に到着したビール樽に市長さんが栓をつける儀式があります。翌日の日曜日には民族衣装をまとった様々な団体の行列も行なわれます。
昨年の記録を見ると、入場者数が延べ約590万人、飲んだビールが約5760万リッター、食べた鶏約45万羽などとなっております。

<蒸留酒の人気は世界的>
ビールの国ドイツでは、今年の暑さで消費量は伸びていて、ビール会社は喜んでいるのですが、長期的に見てみるとビールの消費量は減少傾向にあります。ドイツのビール業界の問題は、メーカーの数が多く、それだけ個々の企業の経営規模が小さいということです。日本の地酒メーカーと似たようなところがあります。ドイツには1200ビール会社があり、5000のブランドがあるといわれています。ビールの味は新鮮さが勝負ですから、いわゆる地ビールのような小型の装置で作り、それを隣接のレストランで提供することで評価されるとか、あるいは郷土愛に訴えて地元のビールを飲んでもらうということもありますが、国際化が進む中、オランダやベルギーの大手ビール・メーカーに買収されていくケースも増えています。
日本では何度目かの焼酎ブームであると聞いております。世界的に見てもどうも蒸留酒の消費が伸びているようです。焼酎も蒸留酒なのでしょうが、蒸留酒といえばウイスキーやブランディー、ウォッカ、テキーラなどそれぞれの地域に独特の蒸留酒があります。ドイツにも一般にはシュナップスとよばれる蒸留酒があり、原料はとうもろこしであったり、穀物であったりしますが、さくらんぼや木いちご、あんずなども使っており、これらは酒として飲んでも原料の風味があります。
ドイツにおける蒸留酒の人気は、カクテルのベースとして使われてることからくるようで、何かと混ぜることによりアルコール濃度を薄くできることも魅力のようで、この点鹿児島の焼酎の飲み方とは違うようです。

歩行者天国

新井氏へのご質問等は下記までご連絡ください。 
<ジェトロ ミュンヘン>
JETRO,Munchen Promenadeplatz 12, D-80333 Munchen Germany
TEL : ++49-89-2908420 FAX:++49-89-29084289
e-mail:arai@m.jetro.de

その11

当協会の理事で,弓場貿易株式会社社長の弓場秋信氏による,すぐに役立つワンポイント貿易アドバイス!

その11

弓場秋信氏今回のワンポイントアドバイスは、直接貿易に関係ない話をします。とは言っても商談で訪問したある国での出来事です。

空港について入国管理官にパスポートを提示すると「千円、千円」と言い中々スタンプを押してくれない。ここで千円渡したら次の日本人も払わされると思い、私は知らない振りして待っていると相手が根負けして入国許可のスタンプを押した。入国後、商談先の島に向かうために再び飛行機に乗り、到着後ホテルに入ると警官が見えパスポートを持って警察署に来るようにとの事、理由を聞いても答えず従うしかない。警察署に着くと先ほど同じ飛行機でこの島に着いた外国人の姿が見える。理由が解らないまま部屋で待っていると別室に呼ばれ、来島の目的と誰に会いに来たかを尋ねられた。暫くすると警官が「あなたが会いに来た現地の人が先ほど見えたのでホテルに帰ってよい」との事。パスポートは、と問うと現地の人に渡すからホテルで待つようにと言われる。部屋に帰っても、外国では命より大事と言われるパスポートの行方が気になり落ち着かない。
そこに電話が鳴り受話器を取ると、この島に住んでいる日本人だと言う人が「あなたはパスポートを警察に取り上げられたでしょう、言葉もわからないだろうから私が変わりに取り返してあげよう。しかしそれにはお金が必要だ。貴方方は仕事でこの国を訪問したのにビジネスビザを持っていないのでお金で解決するしかない。普通は高いが私が200万円で交渉してあげよう」。何故彼がこの事を知っているのだろう、そして滞在先も。もしかして警察とぐるになっているのでは、と疑問を持ちながら「その必要はないです」と断り現地の人からの連絡を待った。3時間ほど待ったでしょうか、パスポートは警察から持ってきたので安心してとの電話が入った。私が「警察にいくら払ったのですか」と尋ねると彼は、「お金は払わなかった」と答えたが私がそんな筈は無い、そのお金は私が払いますので金額を言ってくださいと再度尋ねると2人分18万円でパスポートを返してもらったとの事。
正当な手続きを経て入国するも、観光ビザで商談しようとしたとの言いがかりで、袖の下を第三者経由で要求され支払うことになった。次回から面倒でも現地の警察に隙を見せない為にビジネスビザを取得した。そして日本の中でも一緒ですが、現地に住んでいる日本人全てが善人ではないということである。
(貿易ニュース鹿児島2003.8月号掲載)

その10

当協会の理事で,弓場貿易株式会社社長の弓場秋信氏による,すぐに役立つワンポイント貿易アドバイス!

その10

弓場秋信氏私のミャンマー(旧国名ビルマ)に対するイメージは、素顔の美しい国民、軍政を敷き民主化運動を弾圧する強面の政府、そして豊かな天然資源が眠る未知の魅力を持つ国である。
しかしそれは間接的な情報を元に出来上がったイメージで、自分の目で見て現状を把握したいとの思いでの初訪問であった。
首都ヤンゴンの郊外に位置し周囲を緑と湖に囲まれた宿泊先のホテルは、内部の設備、調度品もここがミャンマーかと思わせるほどの高級品で飾られていた。以前鹿児島に製材技術習得のために滞在していたソー君の案内で、ヤンゴン市内や工場そして郊外の村を訪ねた。庶民の生活は経済統計に表れる数字からの想像より裕福そうで、笑顔がすてきな人々であった。ソー君の話で興味を持つたのが、公務員の給与と為替の二重レートである。
警察官の月給は、平均的庶民の5日分の生活費相当である。後の不足分は警察官としての仕事をする中で稼ぐシステムとなっている。例えば、市民から泥棒が入ったとの連絡を受ければ、その現場に行くのに被害者から謝礼をもらい、捜査に当って謝礼をもらう言った具合である。役所に勤める職員も警察官と同じような給与で、役所に来た人に、必要書類を販売したり、用事を代行することで謝礼を頂く。これを俗に「袖の下」と呼ベるでしょうか。政府或いは国は、公務員に十分な給与を払えないので、公務員の地位と仕事を与えるので後は良しなにと言ったところでしょうか。
豊富な天然資源に恵まれながら外資の導入が進まない理由の一つに外国為替の二重レートがある。公定レートは、1USDが約6.4チャットで実勢レート(闇レート)は1USDが約900チャットと140倍の開きがある。例えば日本から1万ドル持つて行き銀行で両替すると6万4千チャットを貰うが、ミャンマー国内で使うときには、その価値は140分の1に激減するといった具合である。最近ではあまりにも格差があるのでその中間レートが存在しているようだ。
人口5000万、面積は日本の1.8倍そして豊富は資源を持つミャンマーは、今すぐのビジネスには不向きであるが近い将来、魅力あるパートナーとなるのでは。。。
(貿易ニュース鹿児島2003.7月号)

その9

当協会の理事で,弓場貿易株式会社社長の弓場秋信氏による,すぐに役立つワンポイント貿易アドバイス!

その9

弓場秋信氏中国・香港を中心とする新型肺炎(SARS)の流行とそれが取引に及ぼす影響を肌で感じている今日この頃である。海外との取引では、その国の日々の変化が見えないだけに予測できない事態に遭うことが多々あり、改めてリスク管理(ヘッジ)の重要性を感じる。
過去の取引の中で私が最も大きな影響を受けたのは、宗教間の対立による暴動・焼き討ち等で取引停止に追い込まれた冷凍鰹のインドネシアからの輸入である。鰹節用の原料として最も品質が高いと言われる一本釣りインドネシア産鰹を年間2000トン、アンボンより輸入していた。このメーカーにたどり着くまでに2社と取引した。最初の会社は品質面で劣り、2社目は国営企業で最初は順調に推移していたが後に資金面で行き詰まり供給が出来なくなった。そしてインドネシアで偶然話をした台湾人が紹介したアンボンの華僑系インドネシア人の工場が3社目である。アンボン島の中心地で建築資材の卸販売を正業としながら新たに鰹の冷凍加工工場を始めた矢先で、拙いインドネシア語での会話となったが真面目で仕事熱心な社長と馬が合い、信頼に足りると判断し取引が始まった。鹿児島のメーカーに同行を願い現地工場での技術指導もあり、品質・価格ともに満足し加工された製品の全てを引き取り数年して取扱量は年間2000トンまでに達した。工場では更なる生産増を目差し設備投資に着手した矢先に事件は起こった。
従来イスラム教徒とキリスト教徒が仲良く平和に暮らしていた島に、異教徒同士の反目を画策し、内乱状態に持って行こうとする政治的背景を持ったグループが島に入り、お互いの村の焼き討ち・暴動へと発展し、無政府状態がつづく中で冷凍工場も略奪・焼き討ちに遭い、実直で仕事熱心な社長も全ての資財を失い島外へと移住した。と同時に私も冷凍鰹ビジネス4億円分の売上を失った。それは全売上の40%に相当した。しかし会社の致命傷になることもなく今も事業を続けられているのは、常日頃よりリスクヘッジを念頭に置きながら供えをしていた事が大きかった。輸出入のバランス、取引相手国・地域の分散、取扱商品の多様化、財務体力の強化等である。
世界には多くの民族(部族)・宗教、富の不平等、政治腐敗、文化・習慣、価値観の多様化、環境問題などが存在し、それらが複雑に絡み時として形となって表面化する。不測の事態に対しての備えをしながら日常の仕事に励んで生きたい。
(貿易ニュース鹿児島2003.6月号掲載)

中国からの配当送金について

当協会の金融専門の貿易アドバイザーが,今まで寄せられた金融関連相談事例の中から,是非知っておいていただきたい海外事業展開の為の基礎知識を紹介するコーナーです。

講師は福元 雅英アドバイザー(鹿児島銀行アジア貿易投資相談所 所長)です。

中国からの配当送金について

講師は福元 雅英アドバイザー(鹿児島銀行アジア貿易投資相談所 所長)です。 「世界の工場」や「世界のマーケット」として注目を集める中国は、2001年12月にWHO加盟が決定し、現在、第三次投資ブームのさなかにあります。鹿児島においても、程度の差はあれ、中国進出を検討される地元企業は多くなっているようです。
 中国に会社を設立した場合に、最初に気になるのは、「得られた配当を日本に問題なく送金できるだろうか?」とか「配当送金は中国外貨管理上の制限を受けるのではないか?」ということではないでしょうか。
 そこで今回は、「中国からの配当送金」についてお話ししたいと思います。

 結論から言いますと、中国の外貨管理法上、配当金の送金は経常項目の送金であり、関連する書類を銀行に提示すれば、問題なく送金できるものとされています。
 中国現地法人は、12月31日の会計年度終了後、会計監査・企業所得税の確定申告を終わらせ、董事会(外資企業の最高意思決定機関で「取締役会」に近いもの)を開催し、利益処分承認決議を行います。
 この決算手続きを経た上で以下の書類等を銀行に提示し、配当送金を行います。

  • 納税証明:納税終了の証明
  • 監査報告書:決算終了の会計士の証明
  • 董事会の利益処分決議:決議を経た配当の証明
  • 外貨登記証:外資企業であることの証明
  • 検資報告:資本金払込の証明

 配当送金は、外貨で行われますので、自社の外貨口座から外貨送金するか、銀行で人民元を外貨に換えて送金することになります。以上のように、基本的に問題なく「中国からの配当送金」を行えるわけですが、企業の定款には、「外国出資者に対する配当は外貨で行うこと、また、配当に必要な外貨がない場合は、銀行で外貨を購入して送金できること」を記載しておく方が望ましいとされます。
 なお、配当や利子を国外に送金する場合は、企業所得税の源泉徴収が行われますが、現地法人(合弁企業・合作企業・独資企業)の配当金は免税となっています。

 ところで,鹿児島県貿易協会での貿易相談は毎週木曜日午後1時30分からお受けしておりますが,鹿児島銀行アジア貿易投資相談所でも、中国投資に関心のあるお客様に対しまして、専門のアドバイザーによる「中国投資相談会」を企画いたしますので,「進出前のご相談」「進出後のご相談」「具体的な計画はないが、相談をしてみたい」等、中国投資に関するものは何でもご遠慮なくご照会ください。
(電話099-239-4896 福元・梅)
(貿易ニュース鹿児島 2003.5月号掲載記事)

その8~インターネットの怖さ~

当協会の理事で,弓場貿易株式会社社長の弓場秋信氏による,すぐに役立つワンポイント貿易アドバイス!

その8~インターネットの怖さ~

弓場秋信氏通信技術の発達で外国との交信が迅速にそして安価になった。特に電子メールの普及は、大量の情報を瞬時に送れるようになり相手との意思の疎通に大いに寄与している。従来貿易の通信手段として多く使われていたテレックスがFaxに変わり、今は電子メールが主流となっている。しかしそんな電子メールたよりのビジネスには、思わぬ落とし穴が有るのではと思わせる出来事があった。
ある時機械工具の輸入をすべく、国とメーカーを選定して、必要とする商品の仕様並びに数量をFaxで数社に送った。その内の1社よりメールで写真の添付きで返事が届いた。それは正しくこちらで文章にして送った仕様に近いものであったので、早速細部にわたる交渉にはいった。先方はこちらからの要望を受け取ると、1日置かず納得のいく返事が返ってくるので、素晴らしい供給業者を見つけることが出来たと感激し見積りを依頼した。届いた見積りは日本の市場価格に精通している業者であると感じ入いるに充分な価格であった。しかし支払条件は前送金となっている。初めての取引でもあるのでL/C(信用状)による支払いをお願いしたが前送金を譲らない。
過去の経験からなのか本能的に何かを感じ、会社のレターヘッドを使用してのProforma Invoice(仮納品書)をFaxで送るようお願いした。レターヘッドの会社名は同じであるが住所・電話Fax番号が最初にこちらから送った会社のものと違うので、最初の電話番号に電話をすると、それまでメールでやり取りしていた人は既に会社を退職していた。また新しいところに電話をすると一般の家である。そこで今までの人に対する何かが不信へと変わった。改めて最初の会社に電話をすると引き合いのFaxは受け取っていないので送ってほしいとの事であった。そして今までより安い価格で見積りが届きビジネスが始まった。
電子メールでだけの取引は文字だけで心が見えない部分もある。顔の見えない外国人との取引に、相手を知る手がかりとなる電話での会話やFaxでの所在確認も大切である事を学んだ。
(貿易ニュース鹿児島2003.5月号掲載)

海外新市場レポート 中国義烏(ぎう)市場の歩き方

中国義烏(ぎう)市場の歩き方

鹿児島相互信用金庫 外国為替課長 村田 秀博

鹿児島相互信用金庫 外国為替課長 村田 秀博アジア最大の日用品雑貨卸市場の街としてにぎわっている中国浙江省義烏市場を紹介します。 義烏市は上海から南へ300km農村地帯に囲まれた人口65万人の地方都市です。ここに数万軒の卸業者がひしめき、取扱う日用品雑貨は10万点、1日に平均15万人のバイヤーが国内外から訪れます。昨年主に輸出商品を取扱う福田市場がオープンしてから特に注目されています。NHKでも2度特集が組まれ、うち1回は私達のミッションが「経済最前線」で放映されました。
義烏市場は20棟ほどの専門市場ビルとまわりを取り巻く無数の小店舗より成り立っています。地元の人は「飲食店以外はすべて問屋」という表現をよく使います。ここの一番の特長は低価格かつ小ロット多品種で仕入が出来ることです。ボールペン1本5円・巻尺15円・軍手1ダース90円・電動自転車6千円などです。アクセサリー、工芸品・バッグ類が特に有名です
市場は福田市場・小商品城市場・皮革市場・家具市場・衣料品市場・文具市場・化粧品市場・眼鏡市場・通信市場・電器市場などがあります。中でも下記市場は必見です。         
義烏市内風景

義烏市内風景
義烏市内風景

福田市場(中国義烏国際商貿城)

2002年10月開業。次代の義烏の中心を担う近代的市場です。約5千店が出店しています。営業面積60万平方㍍。第2期~3期工事に取り掛かっています。
取扱商品:玩具・アクセサリー・造花・インテリア・店内装飾品・水晶その他

福田市場
福田市場

福田市場正面ホール
福田市場正面ホール

福田市場ブース
福田市場ブース

小商品城市場

1992年開業。義烏で筆頭にあげられる市場です。約8千のブースがひしめき活気にあふれています。営業面積50万平方㍍。販売されている商品は多種多様です。
取扱商品:金物全般・履物・鞄・文具・計算機・アクセサリー・紙製品・帽子・傘・電動スクーター・ ポット・木工品・竹製品・プラステック製品・造園用品・電気製品その他

小商品城

小商品城
小商品城

皮革市場

小商品城の前の皮革製品専門通り。バッグ店ほか数百店が軒を並べています。小商品城の3階も皮革市場です。

アクセスほか

・鹿児島から上海までは空路1時間半です。上海よりは高速道路で3時間半、鉄道利用で4時間です。航空機は14時上海着ですので16時台の武昌行か福州行の急行に乗れます。軟座で100元位です。浦東・義烏間は航空機も飛んでいますが週に2便(日・水)でアクセスは良いとは言えません。
・義烏で一番良いと言われているホテルは4つ星の銀都酒店です。小商品城の隣で行動に便利かつリーズナブルな商城賓館もお勧めです。商売客が多いのでホテルにはほとんどの部屋にパソコンが 置いてあります。また、銀都の中華レストランが義烏では一番おいしいと言われています。
銀都酒店(YINDU HOTEL) TEL:86-579-5558888  1泊500元
商城賓館(SHANG CHENG HOTEL)TEL:86-579-5458888  1泊300元

銀都酒店
銀都酒店
・市場間の移動は人力三輪車が便利です。高くても10元位です。台数が少なく不評だったタ クシーはバイヤーの増加に伴い現在200台増の680台が許可になっています。
・日本語通訳は不足気味です。義烏では1日500元位です。上海・杭州から連れて来る方も多いようです。
・市場が広いので携帯電話があったら便利です。義烏では日本の携帯電話は使えない機種があります。私は上海で1000元で購入しました。プリペイドカード方式です。

注意事項
・義烏市場をすべて視察すると少なくとも1週間以上かかります。
2~3日でまわる時のお勧めコースは、福田市場~小商品城~皮革市場~家具市場です。
・小ロット多品種の仕入をする為には、商品を取りまとめる仲介業者が必要になります。販売業者は商品を仲介業者の倉庫まで持って行きます。仲介業者がコンテナに仕立てます。
・主に中級品を扱っている市場ですので、不良品を少なくする為検品が必要になる場合があります。
・日本の10分の1の価格の商品もありますが、あまり安すぎる物を仕入れると失敗します。プロの眼力が特に必要な所です。
・日本人はまとまった数量を輸入する場合、市場のブースで商品を見つけ、その後生産工場に直接出向き買付けする事が多いようです。
・アクセサリーほか小物類は面白いものが散見され好評です。商品リサーチの場所としては最適です。
(1中国元=15円・本文中の金額は本年3月現在のものです)

文具市場

文具市場
文具市場

家具市場
家具市場
義烏市場は活気に満ちあふれています。がむしゃらだった数十年前の日本の姿を思い出させる所です。訪れるだけで元気がわいてくる義烏にご興味のある方はお気軽に弊金庫外国為替課までお問い合わせ下さい。

地図
<鹿児島相互信用金庫 外国為替課>
鹿児島市泉町2番3号
TEL:099-223-5111  FAX:099-222-4732
Email: sosin.sns@kasosin.com

その7~年末ジャンボより儲かる話~

当協会の理事で,弓場貿易株式会社社長の弓場秋信氏による,すぐに役立つワンポイント貿易アドバイス!

その7~年末ジャンボより儲かる話~

弓場秋信氏年末ジャンボ宝くじは、前後賞合わせると3億円の賞金がもらえる。当らないだろうと思いつつも買い求め、発表までの期間3億円を何に使うかと考えている。
私には海外からジャンボ宝くじよりも多い金額のお金をあげる、との夢のような話が手紙・ファックスやメールで届く。この話は絶対に秘密にと相手から言われているが、経済状況が芳しくないので儲け話を会員の皆さんと共有したいと思い書くことにしました。要旨は以下の通りです。
『貴方は面識もない私からの手紙を受け取り、驚いておられることでしょう。貴方を信用があり秘密を守れる人であると商工会議所より紹介されました。私はナイジェリア政府の高官で、外国との合弁事業で得た利益2500万ドル(約30億円)を貴方の協力で貴国の銀行に送金しようと思っています。つきましてはこの送金が実行されたら貴方に25%(約7.5億円)今後一緒に事業を行なう資金として5%(約1.5億円)をプールし残り70%を私が指定する口座に送金してもらう、と考えていますので貴社のインボイスに取引銀行口座を書いて送ってください。』
手紙の中に出てくる固有名詞や内容は、新聞等で世界のニュースに目を留めていると道理にかなう話であった。空白のレターヘッド付きインボイス、海外送金の受入銀行名と口座名義・番号を教えるだけで7億5千万円がもらえる夢のような話である。また最近ではセネガルから宝くじ賞金の話が、あるいは南アフリカからはナイジェリアと同じようなメールが届く。この夢のような話を物に出来るのでしょうか。
ではこの申し出を受け、一攫千金を夢見て返事をした後の展開を推理しましょう。先方の要望に沿った書類がナイジェリアに届いたならば、日本に送金するために新規の口座をナイジェリアの銀行に設けなければならないので、外国人が口座を開設に必要な金額100万円(あるいはそれ以上の金額)を持ってナイジェリアに来てほしいと理路整然とその理由が書かれ、そして口座の開設が終了し次第貴方の口座に7.5億円送金します。そこで現地あるいは第3国に出かけ依頼者に現金を渡し、自分の口座に送金7.5億円が届くのを待っているが永遠に届かず、依頼者に接触を試みるが電話番号、アドレスは既に変更されている。詐欺だと思ったときには既に遅い。
世の中甘い話には裏があるようで、こつこつと地道に行くしかないようです。
(貿易ニュース鹿児島2003.3月号掲載)

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