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インタビュー

RH輝北プレスウッド㈱

会員者情報

企業名 輝北プレスウッド株式会社
所在地 曽於郡輝北町下百引3185-1
電話 0994-86-1552
名前 代表取締役社長 徳留 弘孝 氏

インタビュー(貿易ニュース鹿児島2005,8月号掲載)

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輝北プレスウッド株式会社の設立は平成6年。親会社は鹿屋市に本社を置く建築会社の丸栄建設株式会社で、徳留社長は同社の取締役会長も務めている。大阪の呉服店で2年間の修行後に帰郷した徳留社長は、鹿屋市で衣料品の販売を開始、昭和44年に株式会社丸栄を設立した。衣料品販売が順調に伸びる中で、新たな事業展開について検討した結果が建築業であった。昭和52年に建築業許可を取得、社名を現在の丸栄建設に変更した。もともと建築については素人であったため、日本各地に出向き各種建材について勉強しながら、自ら軽トラックで受注確保に走り回った。昭和50年代は、建築業の成長期であったこともあり、初年度5、500万円、2年目1億2千万円と売り上げが倍増、4年目にはAランクの業者と肩を並べるまでに急成長した。以降、同社では、住宅やマンション建設を県下一円で展開し、現在の年間売上高は約25億円となっている。
  
 次に、輝北プレスウッド設立のきっかけである。もともと山と木が好きな徳留社長は、戦後植樹され伐採時期を迎えているにもかかわらず輸入外材に押されて山に放置されている杉を有効利用できないか、常々考えていた。このような中で東京の「市浦都市開発コンサルタント」の小林社長に出会い、同社長が考案した「RH構法」の実用化に協力して取り組むことになった。RH構法とは、柱・梁部材に大断面の集成材やLVL(構造用単板積層材)を使用し、柱・梁の接合部に穿孔して異形鉄筋を挿入したうえで接着剤を孔の空隙に充填、硬化させることによって剛接合する構法である。これまでの木造建築の課題となっていた構造強度、耐火性、品質安定性などを大断面構造用木材を用いることで解決するとともに、接合部を剛接合することで、耐力壁や筋違いのないシンプルで自由な建築空間を作り出すことが可能になり、継ぎ手の金物が見えないので見た目も美しい、などの優れた構法である。両者の共同研究の結果、平成4年に世界で初めて実用化に成功した。

 共同研究の過程で徳留社長はLVLに強い関心を持ち、実用化が進んでいたヨーロッパの生産ラインの視察に出かけた。LVLは長さ1㍍の単材にカットした材料を厚さ3㍉のラミナ(薄板)に桂剥きにしたものを、繊維方向を互いに平行にして積層接着して厚さ30~50㍉の単板に加工したものである。RH構法では、この単板を二次接着して更に任意のサイズに加工した構造用LVLを使用することになる。木材の太さや曲がりなどに関係なく、製材に比べて数倍の歩留まりが望めることから国産杉の有効利用に役立つと直感した徳留社長は、丸栄建設の社長を息子に譲り、平成6年に輝北プレスウッドを設立した。同社では、RH構法の加工・販売を手がけるとともに、杉のLVLの試作品を作り、県工業技術センターの協力を得て材料実験、強度試験を重ねてデータを

収集した。このデータをもとに建設省(現国土交通省)や農林水産省に働きかけた結果、平成11年に構造用LVLのJAS規定の規格見直しが実現し、杉の構造材としての用途が大きく拡大することになった。

 現在、輝北プレスウッドでは、構造用LVLについては断面2.4㍍×1.2㍍、長さ12㍍まで加工でき、これをつなぎ合わせることで約60㍍スパンの建物を建設したことがある。また、大断面構造用集成材については、断面25㌢×1.8㍍、長さ24㍍まで加工できる。これらの材を使用したRH構法により、県内では加治木町や川内市の公営住宅、川辺町の道の駅、知名町立武道館など、県外では神戸市営住宅、広島県のウッドアリーナ、熊本県の相良北小学校などが建設されている。
       
 徳留社長と海外との関わりであるが、17年前、衣料品店で販売する毛皮製品を中国から輸入したのが始まりである。その後、建築部門が急速に拡大する中で、建材やインテリアなど住宅関連製品の占めるウェイトが高くなってきた。丸栄建設本社敷地内にある「まるこみプラザ」では、1階に床材・壁材・ドアの展示場や照明器具、カーテンなどが、2階にインテリアや生活雑貨、絵画などが展示されているが、その多くは中国、東南アジア、ヨーロッパなどからの輸入品であり、県内では類を見ない豊富な品揃えとなっている。また、今年3月には、当貿易協会の呼びかけに応え、上海の「華東交易会」にRH構法の模型や集成材の見本を出展し、中国はもとより旧ソ連邦、ヨーロッパ、中東などの国々のバイヤーからも高い関心を集めた。その後、中国からは技術提携や取引を求める企業等が同社を訪問しており、長年の取引を通じて中国の建材や住宅事情に精通している徳留社長は、どのような形で杉などの国産材を輸出したらいいか、検討しているところである。
            
 徳留社長は、丸栄建設グループの約100名の社員に対し、常々「成功の源は夢である」と呼び掛けている。「夢を持つことのできない人間は、夢(住宅などの商品)を売ることはできない」という考え方である。今年また、徳留社長の新たな夢への挑戦がスタートした。農業生産法人を設立、15㌶の農地に焼酎原料のサツマイモを栽培し、今秋、初収穫を迎える。

㈲アイエス通訳システムズ

会員者情報

企業名 有限会社アイエス通訳システムズ
所在地 鹿児島市大黒町4-1西日本シロアリいづろビル2F
電話 099-227-5173
名前 代表取締役 山崎 美智子 氏

インタビュー(貿易ニュース鹿児島2003,2月号掲載)

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アイエス通訳システムズでは、通訳および翻訳の業務をおこなっております。1990年の設立当初は圧倒的に英語の需要が高かったのですが、最近では英語に加えて、中国語と韓国語の需要が伸びてきており、その他にもドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語等でのサービスも提供させて頂いております。また、その他の言語としてマレー語、インドネシア語、ベトナム語、スロバキア語も扱うようになりました。
 翻訳や通訳業務は地方ではなかなか需要が少ないのが現状ですが、きめ細かい打合せ等ができる地元のメリットを活かすべく、仕事に邁進致しております。特に貿易協会の会員様には特別料金でのサービス提供をさせていただいています。主に鹿児島での業務が多いのですが、九州を圏内とし、四国、本州でも業務を行ったりしています。また、お客様により良いサービスの提供をするために、通訳者のレベルを確認するための試験を今年より実施することにいたしました。より安心して通訳者を選んでいただくための参考にしていただくためのものです。今年は6月中旬に実施予定です。
 併設しておりますアイエスアカデミーにおいては、通訳者、通訳ガイドの養成および一般の外国語会話の授業を行っております。クラスの種類は英語がもっとも多いのですが、フランス語、中国語の授業も行っております。企業向けの出張レッスンではニーズに合わせたクラスができるので、喜ばれております。こちらも英語が多いのですが、韓国語、中国語でのレッスンも提供しており、このところ中国語の依頼が急激に伸びてきています。
 昨年の中国語関係の通訳業務としては、四月に李鵬氏が来鹿された際や、秋に東方航空が上海・鹿児島路線を開設したときの業務などがありますが、このような流れのもとに中国語への需要の伸びの傾向はますます顕著になってきております。上海に進出している企業からの「中国語短期養成講座」の依頼も増えてきております。ある企業では1日4時間、10日間の合計40時間での短期養成講座を2週間で行ったりしています。日本人と中国人の講師を組み合わせた形で、中国人の国民性を学びながら弊社独自の方式にて授業を展開しています。旅行のための簡単な講座も用意していますので、中国に行かれる前に一度受講されてみませんか?
 旅行、通訳、翻訳など、お気軽にお問い合わせください。

-アイエス通訳システムズの各種中国語講座-

◇中国語初級 → 初めて中国語を学ばれる方、基礎と発音をもう1度固めたい方へ。
          旅の中国語の指導もあります。
◇中国語中級 → 中国語をさらにみがきをかけたい方のクラス。
          中国語検定3-4級程度
◇プライベートレッスン → 効率よく学びたい方のために最適なコース。
                お一人お一人のニーズに合わせた、カリキュラムをお作り致します。
◇企業向けレッスン → 中国へ派遣される社員の方々のためのクラス。
             今最も需要の大きいクラスです。
(貿易ニュース鹿児島2003.2月号掲載)

鹿児島空港ビルディング㈱

会員者情報

企業名 鹿児島空港ビルディング株式会社
所在地 姶良郡溝辺町麓822番地
電話 0995-58-2110
名前 取締役総務部長 西 邦光 氏

インタビュー(貿易ニュース鹿児島2003,8月号掲載)

取締役総務部長 西 邦光 氏

鹿児島空港ビルディング株式会社は、地元主要企業、国内主要航空会社、鹿児島県などの出資により昭和44年に設立されました。
 取締役総務部長の西邦光氏にお話をお伺いしました。
 ちなみに、同社代表取締役社長松元茂氏には、鹿児島県貿易協会副会長にご就任いただき、鹿児島の貿易振興にお力添えをいただいているところです。
 さて、鹿児島空港といえば、南九州の拠点空港及び我が国のゲートウェイ空港として発展を続けている空の玄関口ですが、平成14年の鹿児島空港の利用客数は過去最高の630万人だったそうです。これは、九州では福岡空港に次ぐ乗降客数です。鹿児島空港は、さらに将来を見据えて、施設の整備・拡充をすすめ、現在800万人対応の施設としての機能を備えているそうです。
 こういった実績を支える鹿児島空港ビルディング(株)の業務についてお聞きしました。
 「主な業務は、空港ビルディングの管理運営です。国有地に,現在のターミナルビルを建設しましたが、航空会社やレストラン,売店などの事業者に施設、設備を提供するほか、ビル内総合案内所の運営やお客さまの為の館内放送なども仕事の一つです。
 鹿児島空港は、鹿児島に最初に足を踏み入れる場所ですので、鹿児島を感じられるものでなければならないと思っています。そのためにも,ターミナル前の植栽を始め、館内も季節の花を飾るなど鹿児島らしい雰囲気造りに努めております。
 またお客様のために、ビル内のバリアフリー化にも力を入れており,エレベーターやエスカレーターを車椅子用に作り替えたり、動く歩道を設置したり,全国的にめずらしい畳のベンチも設置しています。時代と共に施設も変わっていかなければならないと考えております。
 さらに、多くの方々に空港をご利用いただくために、2階のフロアーでは韓国物産展を行ったり、ほかにも元旦の初日の出イベント、夏祭りイベントなどを実施しています。エアポートギャラリーを設け、地域文化発信のお手伝いもさせていただいております。
 来春の新幹線開通を念頭に、1階にある総合案内所もリニューアルしましたが、新幹線の開通は航空業界に大きな影響を及ぼす出来事だと思います。開通後の空港と鹿児島市内のアクセスをどうするかが、私共にとりまして重要な課題であると考えています。空港と駅をいかに短い時間で結び、共生が図れるかということです。現在、JR九州が『レール&エア』という商品を売り出してますが、今後はこういった形でJRと一緒になった企画を打ち出していきたいと考えています。」

 さて、ここでゲットした耳寄り情報を一つ、二つ!
 一つ目、皆様、熊本の馬刺は鹿児島空港がないと食べられないと知ってましたか。実は、九州で牛や馬の検疫ができるの、鹿児島空港だけらしいです。で、月に1回,アメリカから専用のジャンボ・カーゴで,100頭前後の馬が入ってくるそうです。(もちろん馬刺用です) 鹿児島で動物検疫を受けた後,通関し,その後熊本に運ばれるのだそうです。
 二つ目、小型航空機の輸入は殆どが、鹿児島空港からだそうです。なぜかというと、小型機は燃料を多く積めない為,アメリカから南回りに、島(国)づたいに、給油しながら飛来し,日本の南の玄関口鹿児島空港で通関するのだそうです。
 最後にもう一つ、海外からのロケット部品の輸入も全て鹿児島空港からだそうです。(種子島、内之浦がありますからね)

[関連特別取材]
鹿児島空港給油施設株式会社 取締役畜産事業部長 山下 春幸 氏

 鹿児島空港から馬刺用の馬が陸揚げされるとお聞きしたので、その業務を委託されている鹿児島空港給油施設(株)を訪問し、お話を伺いました。
 「馬の係留施設がある動物検疫所は全国で10カ所ほどあるが,そのうち空港に動物検疫所が隣接しているのは、現在鹿児島と成田の2カ所のみです。
 関空や成田には定期貨物ラインがありますが,鹿児島には定期ラインがないので、チャーターでしかもって来れません。また、動物検疫所の収容枠というものがあり,国内で役割分担ができています。馬については全国で4,000頭という枠があり,鹿児島が優先枠で1,600頭となっており,鹿児島で処理できない分を他の動物検疫所に回して処理しています。ペットブームで、個人で、何か動物を輸入しようと思っていらっしゃる方がおられるかもしれませんが,鹿児島空港の検疫回数は年間17回と決まっており,スケジュールも組まれているため,個人輸入の検疫はなかなかお受けできないのが現状です。ほかの検疫所で手続きいただくことになります。」
(貿易ニュース鹿児島2003.8月号掲載)

㈱ヨシカワ

会員者情報

企業名 株式会社ヨシカワ
所在地 川内市港町360-31
電話 0996-26-3388
名前 代表取締役社長 吉川 修 氏

インタビュー(貿易ニュース鹿児島2003,5月号掲載)

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 株式会社ヨシカワは昭和22年に創立。年商10億円の粉体機器メーカーである。
緑の手入れが行き届いた本社を訪問し,吉川社長にお話を伺った。

 川内市内にあった本社工場を港町にある工業団地に移転して丸8年目になる。現在の敷地面積は2ヘクタールもあるが,砂で埋め立てられた土地のため,水はけがよすぎるのが悩みの種である。スプリンクラーを設置して,敷地内に植木を植え,1年中花を楽しめるようにしてある。
 さて,主要製造品のサークルフィーダーは用いられる業種を特定できないくらい用途が広い。ある程度水分を含んだ原料など,下に落ちにくいものを定量・定期,確実に供給するという大切な働きをするが,例えばセメント業界では原燃材として石油系の産廃物を利用しており,国内でも埼玉などでは都市ゴミを利用しはじめている。これらの原料加工の過程において定期的に原料を供給する時にもサークルフィーダーが使用されている。通常の機械は見てすぐに機能がわかってもらえるのだが,見えないところで機能しているので,なかなか用途を理解してもらえない。しかし「安定した量を供給するという事は次の完璧な安定した品質を生み出すのにとても重要な役割を果たしている」と考える。
 地元鹿児島では焼酎工場でもフィーダーが使用されている。焼酎の製造過程ではじめにイモを3~5トンほど釜に入れて蒸し,ファンで冷却したものをもろみとして利用するが,昔はこの釜から移すのに暑い中,スコップで手作業をしていた。サークルフィーダーを設置することでボタン一つで作業ができるようになった。他にも製麺工場,製粉工場,大手ビール工場など多くのところで使われている。中国や韓国などではフィーダーがやっていることをまだ人力で行っている。
国内には同じような専門メーカーが4社ほどあるが,製造している機械の特徴が違う。当社の製品は『出にくいものを安定して出す』のが特徴。他社は『定量で出す』定量フィーダーを扱う。当社の機械にはすべてヨシカワのプレートがついている。
 製品は川内工場でしか製作していない。注文があった時に,ここから製品を送っている。近々ヨーロッパにも送ることになっている。サークルフィーダーはステンレス製で大きいものだと外形が6メートルもあり,輸送コストがかかるのが販売のネックである。
 製品の材料は国内調達であり,完成品は9割を国内で,1割を海外に出荷している。海外の取引先には日本企業が多い。主に先進国向けの製造を手がけており,現在アメリカとヨーロッパに販売代理店がある。アメリカとの取引は長い。10年ほど前の5月にアメリカで開催されたパウダー展(粉粒体機械関係の展示会)に日本粉体工業技術協会のツアーで参加したのがきっかけとなった。現在はノースカロライナの企業と販売代理店契約を結んでいる。海外の見本市にも代理店が出展している。
 中国,東南アジア,韓国などの主な取引先は現地に進出している日本企業である。ニーズがあるようなので,出掛けていけば需要があるとは思っている。中国で製造して,中国で消費するということも考えられるが,中国で製造して日本に持ってくるということは考えていない。台湾企業を通じての販売もありうる。
 高いものは売れない時代になってきた。機械を安くして当社の製品を広く利用していただきたい。特例使用から汎用仕様へ,無駄なものを省く努力をし,製造者とユーザーがお互いに協力して,安くて機能の高いものを作っていく努力をしていかなければならないと考えている。

㈲山田銘木店

会員者情報

企業名 有限会社山田銘木店
所在地 鹿児島市東開町8-9
電話 099-269-1239
名前 代表取締役 山田 賢一 氏

インタビュー(貿易ニュース鹿児島2004,10月号掲載)

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(有)山田銘木店は鹿児島市の木材商業団地にあり、昭和44年に山田社長の父親である勝賢氏が創業、49年に有限会社となった。勝賢氏は戦前の台湾で生まれたが、終戦により鹿児島に引き上げてきた。行商や雑貨店の経営などを経て、35歳の頃に銘木店を開業し、屋久杉製の欄間の製造・販売や、知り合いの職人が製作した木工製品の販売を行うようになった。
 
 事業が軌道に乗る中で、勝賢氏は台湾からの欄間の輸入を考えるようになる。我が国では、昭和30年代後半以降の住宅建設増加に伴ない欄間の需要が増大する一方、供給側として、労働力不足、特に手工業的な欄間業界では職人の確保が難しく、需要に追いつかないという事態となった。このような背景のもとに、台湾檜や台湾杉という良質の材に着目した大阪の一業者が現地の木材工芸業者を指導して作らせたのが、台湾欄間の始まりだという。勝賢氏は、貿易については全く素人であったが、当時の取引銀行の職員が懇切にノウハウを指導してくれたお陰で台湾からの製品輸入が始まり、取引が順調に拡大していった。
 
 昭和57~58年頃、当時高校生であった賢一氏は父親から台湾の大学への留学を勧められた。「勉強はしないで遊んでばかりだろうが、遊ぶためには言葉が必要だから、中国語を修得できるだろう。」ということで留学することになったという。賢一氏によれば、父親の予想通りよく遊んだお陰で中国語をマスターし、留学を終えて帰国するときには未来の社長夫人も一緒だったというから、父親の期待以上の成果を上げることができたようである。

 平成2年に帰鹿した賢一氏は、父親の下で仕事を始め、台湾やその後取引が始まった中国での商談には通訳として常に父に同行し、商品に対する知識や経営ノウハウを学んでいった。父が社長、息子が通訳という組み合わせは、取引相手から信頼を得る上で大いに役立った。そのような中、賢一氏は、平成9年に32歳の若さで突然社長に就任することになった。台湾に出張中の勝賢氏が交通事故に遭い61歳で急逝したためである。その時も同行する予定であった賢一氏は、出発直前になって父から、今回は鹿児島に残るよう命じられた。同行していれば、賢一氏自身も同じ運命をたどっていたかも知れず、なぜ、その時だけ残るように命じたのか、不思議な運命を感じるという。

 同社が取り扱う製品は、欄間、社寺彫刻、床柱、高級工芸品、銘木彫刻品などである。一口に欄間といっても彫刻欄間、書院欄間、組子欄間、透かし彫欄間、蓮欄間などの様々な種類がある。また、これらの製品の材料は、杉、檜、桐などで、国内はもとより台湾や中国などの材も利用されている。杉の中でも特に高級なものが屋久杉、神代杉である。屋久杉は、屋久島で産する杉のうち樹齢千年以上ものを指すが、昭和57年以降は原則として伐採が禁止されているため、現在では、土埋木や風倒木などを森林管理署の公開入札を通じて入手している。神代杉は、山形県と秋田県の境にそびえる鳥海山がかつて噴火した際に火山灰に埋没した杉を掘り出したもので、黒みがかった重厚な色合いを持ち歴史を感じさせるものである。                      
       

 これらの製品については、国内での製造が2割程度で高級品が中心であり、残りは中国、台湾、香港などの海外から輸入しているが、かつて中心であった台湾に代わり、現在は中国のウエイトが高くなっている。中国の福建省、江西省、浙江省、広東省などでは木材加工が盛んで、中国国内の材のほか日本や台湾の材を持ち込み委託加工したものを輸入しており、日本国内での販路は、県内2割、県外が8割となっている。

 山田社長によれば、中国との取引上をする上での留意点として、商取引に関する考え方や、文化、言語などのバックグラウンドが違うことを理解する必要がある。例えば、中国の取引先は、一般的に短期間で利益を上げようとするために品質管理が不十分で、かつては月に1回程度の割合で現地に出向き検品を行う必要があったが、その後、関係者を招聘して日本における製造や販売の現場を実際に見せることにより、品質の向上が図られた。また、山田社長は、人的なネットワークづくりを大事にしている。中国には人治の国といわれる側面が色濃く残っているため、地方政府を含め行政関係者との良好な関係を築くことのメリットは少なくない。また、量的には少ないもののタイやベトナムの工芸品も取り扱っているが、これらは、これまでの取引を通じて培った台湾や香港の信頼できる業者を通じて輸入している。
         
 森林資源保護のため、今後中国でも原材料の確保が困難になることが予想される中で、山田社長は東南アジアなど新たな取引先の開拓を検討するとともに、上海をはじめとする中国の裕福層をターゲットにした高級家具工芸品の輸出の可能性にも注目しているという。若くして会社を引き継いだ山田社長は、鹿児島青年会議所のメンバーとして、鹿児島のまちづくりへの提言やボランティア活動にも積極的に関わってきた。海外や地元に築いてきた幅広いネットワークや語学力を基に、山田銘木店が一層発展されるよう期待したい。

中越パルプ工業㈱川内工場

会員者情報

企業名 中越パルプ工業株式会社 川内工場
所在地 薩摩川内市宮内町1-26
電話 0996-22-2211
名前 上席執行役員工場長 中野 達男 氏

インタビュー(貿易ニュース鹿児島2006,1月号掲載)

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    山根次長      中野工場長

中越パルプ工業株式会社は、戦後間もない昭和22年に富山県で創立された。現在、東京に本社を置き、川内工場のほかに富山県に2工場を有する国内有数の製紙メーカーである。中野工場長と山根次長にお話を伺った。
                            
 川内工場は、昭和29年12月に川内市(現薩摩川内市)の誘致企業第1号として操業を開始した。市の熱心な誘致活動はもとより、川内川の豊かな水量や黒松などの原料に恵まれていたこと、良質な労働力を確保しやすかったことなどが立地の理由であった。創業当時112名でスタートした従業員は、現在約400名、関連会社を合わせると約1,000名で、薩摩川内市において、大きな雇用効果をもたらしている。

 川内工場における紙の生産量は年間約30万㌧。創業当初は、包装用のクラフト紙が中心であったが、ニーズの変化に対応し、現在では、カタログやパンフレット用の塗工紙、書類や書籍用の上質紙,カップ原紙・壁紙・防虫紙といった特殊紙など様々な製品が製造されている。子供たちに人気のハリー・ポッターシリーズの翻訳本や愛子さまお気に入りの絵本「うずらちゃんのかくれんぼ」、トヨタのレクサスのパンフレットなどにも同工場の製品が使用され、国内で使用される建築用壁紙では5割のシェアーを占めている。また、量は少ないが、県内に豊富な竹を原料に利用した竹入紙も生産、紙コップや箸袋、封筒などに使用されているという。

 紙の製造工程は、木材チップからパルプを作る「蒸解パルプ工程」、パルプを使って紙を作る「抄紙(しょうし)工程」の二つに大きく分けられる。まず、蒸解パルプ工程であるが、木材チップにはパルプになる繊維(セルロース)のほか、繊維の接着成分(リグニン)などが含まれているため、苛性ソーダなどを加えた釜の中で高温で煮沸し、リグニンを溶かして繊維を取り出す。この繊維を洗浄後、塩素、過酸化水素などを加えて漂白するとパルプが出来上がる。なお、この工程で発生するリグニンなどの有機物を含んだ廃液はボイラーで燃焼させることで、工場内の全ての熱源を供給するとともに、タービン発電にも利用され消費電力の95%をまかなっている。また、廃液に含まれる苛性ソーダなどの薬品は回収して再利用される。

 次の抄紙工程では、はじめに、繊維が互いに接着しやすくするために繊維を叩いてヒゲを出す叩解(こうかい)という作業を行う。この段階のパルプの99%は水分であるが、プラスチック製の目の細かい網の上にパルプを薄く広げ、水分を落としながら紙の層を形成する。これをプレスして水分を絞り、熱を加えて乾燥させた後、巻き取って紙のロールが出来上がる。ロール1本の重量は20㌧と巨大なもので、これを注文に応じて裁断などを行い出荷する。川内工場では、一日当たりの生産量は880㌧、これをのばすと鹿児島-東京間の距離に相当するという。
 
 国産が中心であった木材チップであるが、昭和40年代から外国産の輸入が増加し、現在中越パルプで使用しているチップの7~8割は輸入ものである。輸入相手先も北米、中国、東南アジア、南米、南アフリカ、オーストラリアなどと多様化しており、最近では、オーストラリアやニュージーランドのユーカリが最も多くなっている。自社の専用船6隻で年間40~50万㌧を川内港に輸入し、20㌧の大型ダンプで工場敷地内のチップヤードに搬送している。
 
 かつて製紙工場は、悪臭や水質汚濁の問題などで公害産業と言われた時期があった。
川内工場では昭和50年に川内市と公害防止協定を締結、排水浄化施設をはじめとした様々な環境保全設備を整備してきており、平成12年にはISO14001を認証取得するなど環境対策に積極的に取り組んできた。中野工場長は「製紙工場は、資源のリサイクル、省エネルギー対策、国内外での植林事業などに積極的に取り組んでいる。今や地球環境に最も優しい産業のひとつですよ。」と語られた。

 中越パルプ工業株式会社が掲げる「品質第一主義」、「環境対策の推進と地域社会への貢献」、「安全体制の確立」の三原則のもとに、川内工場においても、時代の要請に応える優れた品質の製品を安定供給すること、地域環境を守り共栄共存を図ることを目標に、事業活動を進めている。

㈱ヒガシマル

会員者情報

企業名 株式会社ヒガシマル
所在地 日置郡伊集院町猪鹿倉20
電話 099-273-3859
名前 代表取締役社長 東 吉太郎 氏

インタビュー(貿易ニュース鹿児島2004,4月号掲載)

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株式会社ヒガシマルの設立は昭和54年10月。主にクルマエビ用配合飼料,魚類用配合飼料及び即席麺類,乾麺,めんつゆの製造・販売を行っている。伊集院町に本社を置き,鹿児島市と串木野市にも工場を持つ。福岡,沖縄,愛媛,神奈川に営業所がある。
 ヒガシマルでは養殖用の飼料が一番の売り上げを占め,金額にして約4億円を輸出している。特にエビ用の配合飼料に関してはヒガシマルが大半のシェアを占めている。原料の魚粉は,東南アジアやチリ,エクアドルなどから仕入れており,輸入した原料は串木野市にある研究所で分析・研究し,配合している。ベトナム,中国などとも取り引きしている。
 ベトナムの田舎を訪れたときに,偶然ヒガシマルの飼料を使って,稚魚を育てている人と出会い,感動した経験がある。輸出入は貿易会社を通じて行っている。自社に海外の担当者もおり,商社を通じて引き合い情報を随時出したり,情報を入手したりしている。今後はインド,バングラディシュ,イランなども視野に入れていきたいが,ノウハウや知識の蓄積から始めなければならないため,大変なことが多い。貧富の差も問題だ。中国との取引も人の問題等,なかなか難しい。
 平成5年には出資比率100%のクルマエビ養殖事 エビ用の配合飼料 業を目的とした子会社をオーストラリアに設立した。
 乾麺類の販売を行う株式会社島原素麺本舗もヒガシマルの子会社である。食品事業の方は,少しずつ全国進出していっている。
 株式会社ヒガシマルの飲食レジャー業務を請け負う有限会社ヒガシマル開発ではジョイフルランド宮田石を営業しており,サウナ等も完備した温泉施設が9月末に完成する予定。既にTV局の取材が来ている。 
 東社長は50年頃から世界中を駆け回っていた。今では行っていない国を数えた方が早い。会社を立ち上げて57年間走り続けてきたという東社長は,会社は現場が一番大事で,現場を大切にしていない会社はダメになるという現場主義だ。仕事には厳しく取り組んで,今後も『感謝と奉仕 創造と挑戦』という社訓のもと,鹿児島の発展のために頑張りたいとのこと。

本坊酒造㈱

会員者情報

企業名 本坊酒造株式会社
所在地 〒892-0823 鹿児島市住吉町1-5
電話 099-226-1294
名前 企画・管理部 企画課 課長 下原 浩 氏

インタビュー(貿易ニュース鹿児島2013,12月号掲載)

2003.12.honbo.mr.shimohara

本坊酒造株式会社は明治5年の創業。
 本業は、皆様ご存じのとおり焼酎などの酒類製造販売であるが、ほかにも山林農園経営、観光事業、不動産業などを行っている。
 鹿児島市住吉町に本社を置き、生産工場は鹿児島、宮崎だけでなく、山梨県石和(山梨工場)、長野県宮田村(信州工場)にもある。支店・営業所は東京・大阪・福岡等全国5カ所に展開している。
 本坊酒造は県内有数の焼酎メーカーであり、チョット商品名を考えただけでも、霧島山系天然水利用の「石の蔵から」、黄金千貫仕込み「桜島」、黒麹かめ壺仕込み「貴匠蔵」や、ほかにも「桜岳」、「太古屋久の島」「蔵出し光遠」など沢山ある。
 今日は、焼酎の話ではなく、本坊酒造(株)で製造しているという洋酒、特にワインについて本社企画課長の下原さんにお話をお伺いしました。

 『 鹿児島で焼酎メーカーとして有名な本坊酒造(株)が、東洋のボルドーと呼ばれる甲府盆地に洋酒生産の拠点として山梨工場を置いたのは、昭和35年(1960年)のことです。この一帯は、冬は寒く夏暑い、雨が少なく日照時間が長いといった内陸性の気候を持ち、ブドウの栽培には非常に適したところで、中でも工場のある石和(いさわ)は砂礫地帯で水はけが良く、地温が高いため、甲府盆地随一のブドウ早出し地帯として有名なところです。
 それ以来40年以上にわたり本坊酒造はマルスワインMARS WINEというブランド名でワインを生産し、全国各地に美味しいワインを送り出しています。
 また、マルスウィスキー MARS WHISKYというブランド名でウィスキーも生産してますが、これは長野県駒ヶ岳の花崗岩質土壌が産み出す天然ミネラルウオーターを使用して、信州工場(昭和60年新設)で生産されています。マルスウィスキーは、以前山梨で生産されていた時期も含めますと、30年以上にわたり出荷されています。大手のサントリーやニッカも参加する国産ウィスキー品評会で、ベストワンになったこともあり、日本の多くのウィスキーの中にあって隠れた銘酒としてウィスキー通の間では高く評価されています。
 会社の当時の役員たちが、焼酎の生産・販売のみにとらわれず、大消費地東京の近くの良い環境のもとで、美味しいワインとウィスキーの生産を始めたわけですから、これは本当に先見の明があったと思います。

  こうして、関東方面では、本坊酒造は「マルスワイン」「マルスウイスキー」を通じて洋酒メーカーとしての知名度が上がったのですが、最近は焼酎ブームのおかげで焼酎メーカーとしての認知度も高くなってきています。
 さて、国内の年間のワインの消費量は10年ほど前は一人当たり1㍑ほどでしたが、今は2.5㍑と増えています。ちなみにアメリカの一人当たりの年間消費量は11㍑。ワイン王国フランスでは56㍑です。日本国内で最も消費が多いのは関東地区です。反対に消費が一番少ないのは鹿児島です。
 このワインが一番売れてない鹿児島でワインを啓蒙したい。そして、焼酎だけの本坊酒造ではないということをPRしたいと思い、9年前から「ワインフェスティバルin鹿児島」を開催しています。今年は、去る11月22日(土)城山観光ホテルで400名の方々のご参加をいただき開催いたしました。11月20日(木)のボージョレ・ヌーヴォーの解禁日を受けて、当日はフランスから届いたボージョレ・ヌーヴォーのほか、当社の山梨産マルスワインをはじめ、国産の新酒、世界各国56種類のワインを取りそろえ、オペラやジャズ演奏など様々なプログラムをお楽しみ頂きながら、ワインと料理をご堪能頂きました。ワインフェスティバルは毎年開催いたしますので、今回ご参加いただけなかった皆様には、ぜひ来年ご参加頂きたいと思います。
 ワインが醸し出す雰囲気は焼酎には無い物があります。「ワインを飲む人に悪い人はいない」と言われるほど、飲んで笑って、楽しい雰囲気を醸し出せる飲み物です。来年のご参加を楽しみにお待ち申し上げております。
本坊酒造は、スペイン最高品質のワインを産するリオハ地方の代表的なワインメーカー「ファウステーノ社」の日本代理店となるなど、輸入ワインの取り扱いも行っています。ちなみに、今年は本坊酒造でボジョレーヌーボーは7000本確保いたしました。
日本のワインの輸入量は増えています。輸入ワインと国産ワインで価格競争すること自体に無理があります。日本と違い、外国のワインには昔からの長い歴史と文化があり、フランスなどは、そこそこのワインから高級なワインまでのかなり幅広く生産されています。そのため値段もいろいろありますが、国内産はどうしてもコストがかかってしまいます。
しかし、最近の消費者は、美味しいもの、特別なもの、希少価値のあるもの、安全なものなど、目が肥え、口が肥え、情報に強くなり、本物嗜好が高まっています。安ければいいと言うだけではなくなっています。
本坊酒造では、数年前より山梨県韮崎市に日之城農場を開園し、新たなマルスワイン造りへの取り組みをはじめています。また、本社ビル地下にワインセラー「ラ・カーブ・アッシュ」を設け、会員制ワインクラブ「クラブ・アッシュ」もオープンさせました。
 鹿児島のワイン文化を育てることにも全力を尽くしていきたいと考えています。

濱田酒造㈱

会員者情報

企業名 濱田酒造株式会社
所在地 日置郡市来町湊町3030番地
電話 0996-36-3129
名前 企画本部本部長 南竹 一弘 氏

インタビュー(貿易ニュース鹿児島0000,0月号掲載)

2004.4.mr.minamitake

濱田酒造の創業は明治元年。串木野市の西薩工業団地にある本社工場と市来町にある「焼酎蔵薩州伝兵衛」で「現代」と「伝統」を両立させた商品を生産し,焼酎出荷量全国8位,県内2位を誇る。南竹企画部本部長にお話をお伺いした。
 工場を2つ造ったのには理由があり,小仕込みでの昔ながらの手作りの良さと,最新設備による均質化・量産のメリット,それぞれ違う面からの焼酎文化の手法の発信をしたかった。2つの工場を対比して,はじめて濱田酒造の姿をわかってもらえると考える。 
 「焼酎蔵薩州田屋伝兵衛」は,平成13年に完成。元々は学校の講堂だった建物を移築してきたものだ。昔ながらのカメ仕込み,カメ貯蔵の伝統技法での製造を行っている。製造工程の見学コースの他,特蒸焼酎や地元産品の販売を行う伝兵衛市場も開設し,産業観光用のコースだけにとどまらず,地域文化の発祥地にもなりたいと定期的に100~300人規模での蔵ライブコンサートも開催している。今まで地元バンドの他に,桑名正博や杉山清貴といった有名な人にもご出演いただいている。また,敷地内には焼酎はもちろんのこと,本場ドイツの技術で仕上げた地ビール「伝兵衛ビール」や地元産品を楽しめる「伝兵衛酒場」があり,ここではコーヒーやランチも楽しむことができる。
 焼酎もワインと同様,テイスティングや,料理に合わせた飲み方などを提案できるようになったが,これも技術革新の賜であろう。
                                    
 濱田酒造では話題性のある商品を開発している。「斉彬の夢」は濱田酒造の原酒を特製の薩摩切り子に入れて販売するという限定100本の商品で,1本20万円~23万円する。高額な商品だったにも関わらず,既に完売した。
 大手商社の三井物産と組んだ1本1万円の焼酎「なゝこ」という商品もある。焼酎ブームでプレミアムがついて値段が高くなる焼酎はあるが,これは最初から希望小売価格を1万円に設定した商品。予約が殺到し,数日間で第1期分5,000本は完売してしまった。更にはサントリーと共同開発した「黒丸」という商品等もある。
 市来町には現在6つの焼酎工場がある。昔は焼酎といえば「市来焼酎」と言われるほど,市来の焼酎は有名だった。シラス土壌で原料となる芋や水の質がよかったことと,鹿児島城下から1番目の宿場町だったこと。町の大きさにしては焼酎工場が多いが,それぞれの特徴を生かして,一緒に市来焼酎を伸ばしていきたいと考えている。昨年福岡において「焼酎探検隊」と銘打って募集したところ,40名に対し,900名の応募もあった。また,地元TV局が「女杜氏組」という番組を企画し,原料の仕込みからボトルラベルのデザインまでを行っている。
 このように,テレビ局や新聞社からの取材も多く,昨今の関心の高さを実感しているところである。

 串木野工場は,平成12年5月に完成。用地面積5,000坪。完全手作りにこだわる伝兵衛工場とは対照的に,最新の機械を使用し,麹造り,仕込み,蒸留まで完全オートメーション化して,極力人間が携わる箇所を無くし,安全,環境への配慮,高品質の均質化等,多くの課題をクリアして年間80,000石を生産する業界屈指の最新焼酎工場である。酒蔵というよりもむしろ,近代的な食品工場群として目に映った。
 生産管理課製品管理係の大園栄作リーダーに工場を案内していただいた。
 24時間体制で蒸留を全自動制御するシステムを導入したのは焼酎業界では田酒造がはじめてである。伝兵衛工場では100㎏しか処理できない製麹(せいきく)も,自動製麹装置を使えば10tの処理を行うことができる。作業は24時間,管理室のコンピューターで管理・監視されている。昔は杜氏が味の良し悪しを決めると言われていたが,今はコンピューターが管理し,ソフトが会社の持ち味となってきた。しかし,ベースになるのは昔ながらの技術であることに代わりはない。
 麹菌には清酒で使用される黄麹菌と濃い酒質になる黒麹菌,マイルドな白麹菌の3種類がある。酵母にも焼酎用,清酒用と様々なものがあり,商品ごとに使い分ける。
 濱田酒造で使用する原料は県内産サツマイモだけではなく,発酵に使う米にも国内産を使用するなど,消費者の安心感を高めるために,こだわっている。24時間自動での焼酎造りを目指す串木野工場でも一番大切な芋の
選別は人の手で行っている。 

 昨年9月に閉鎖された串木野市のテーマパーク「ゴールドバーク串木野」跡地に新工場を準備中である。スピリチュアル・エンターテイメントをコンセプトに,焼酎をいかにお客様に楽しんでもらえるかをテーマにし,伝兵衛工場の「古さ」と本社工場の「新しさ」をミックスさせ,さらに焼酎文化と金山を融合させた施設にしたい。
 是非多くの方々に足を運んでいただきたいと考えている。

田苑酒造㈱

会員者情報

企業名 田苑酒造株式会社
所在地 薩摩川内市樋脇町塔之原11356番地1
電話 0996-38-2092
名前 取締役広報流通部長 上山 茂 氏

インタビュー(貿易ニュース鹿児島2007,5月号掲載)

2007.5.mr.ueyama

薩摩川内市樋脇町に今年1月の大連・香港の海外商談会にご参加いただいた田苑酒造の上山取締役を訪ねた。
 社名のとおり、会社は小高い山を背にしたのどかな田園風景の中にある。

 田苑酒造と言えば,酒蔵コンサートで有名だ。1992年に始まったこのコンサートも今年4月のコンサートで30回目を迎えた。(コンサートは春と秋の2回開かれる。)
 コンサート会場を見せてもらった。焼酎資料館(酒蔵)の中である。ここに330人ほどの来場者を集めて、コンサートが開かれるという。コンサート会場としては決して広くはない。逆に狭いところが思わぬ良さを引き出しているようだ。最前列の人は、独特の雰囲気をもつ古い酒蔵の中で音楽家の細かい動作、息づかいまでを感じることができ、大ホールでは味わえない臨場感と生の音楽に深く感動するという。
 田苑コンサートは社員が企画・運営を行ってきた手作りコンサートである。当日は、ホームメイドのお菓子や、ふかしイモ、もろみ酢、焼酎、ソフトドリンクなどが振る舞われる。このようなアットホームな運営・おもてなしが好評で、毎回チケットは前売券の段階で完売し、当日券はないという。
 出演者は主に県内の若手アーティストが中心で、彼らにとってもよき発表の場,活躍の場になっている。噂を聞きつけて、東京から山本直純の息子さんなど有名な人が出演したいと連絡してきたこともあったとか。
このような社員総出による地域文化の発掘や若手演奏家の育成といった取組みが評価されて、2005年には芸術文化の振興に貢献した企業に贈られる「メセナアワード 2005 地域文化賞」を受賞した。

 さて、本題の焼酎である。
 田苑酒造(当時は塚田酒造場)の創業は明治23年。昭和54年に現在の田苑酒造(株)に組織変更している。
 主力商品は、主に県外向けの「麦焼酎”田苑”」、県内向けの「芋焼酎”田苑”」である。麦焼酎の中でも、ホワイトオークの樽で寝かせた「田苑金ラベル・田苑ゴールド」は県外で高い人気を得ているという。
 今でこそ、貯蔵焼酎は珍しくないが,同社では設立当初から貯蔵焼酎を主力商品として生産してきた。長期貯蔵酒は3年以上貯蔵するため、急な増産が望めないうえに生産・在庫調整も難しい。リスクも伴うが同社ではあえてこの路線を貫いてきた。最近では「貯蔵の田苑」という評価を得て、ここ10年間の売り上げは3倍にまで拡大している。

 先のコンサートとも関連するが、この会社を有名にしているものに音楽熟成がある。最初は「酒蔵にBGMを」の若手職員の発案により始めたものだが、発酵が早い、品質も向上していることが判明。今では仕込み中の焼酎にクラシック音楽を聴かせることで醸成を促す「音楽振動熟成システム」を導入し、本格的にクラシック音楽熟成に取り組んでいる。清酒、ワイン造りではこの音楽熟成を導入している企業もあるが、焼酎の分野では初めてである。

 田苑酒造の新しい商品にもろみ酢がある。正式名は「さつまいも天然クエン酸飲料 もろみ酢」である。焼酎の製造過程で生まれる焼酎粕はこれまで多くが海洋投棄されていたが、投棄禁止の話がでると、同社ではプロジェクトチームを作って有効利用の道を研究してきた。

 いくつかの選択肢の中から飲料として商品化する道を探った。鹿児島大学農学部などの協力を得ながら、試行錯誤を重ねもろみ酢の商品化に成功している。試飲させてもらった。酢特有の鼻をつく酸っぱさもなく、喉ごしもいい。権威のあるモンド・セレクション金賞を始め多くの賞を受賞しているのも頷ける。

 田苑酒造では近年、海外との貿易にも力を入れ始めている。これまでシンガポールやタイ、マレーシア、アメリカとの取引実績はあったが、取引額はそれほど多くはない。先般参加した中国商談会は上海や香港との商談がまとまりそうだという。この他にも商談・引合いの話はあるが、海外との貿易は、あまり広げずにじっくりと取り組みたいと考えている。同社の経営理念、「適性規模を維持した上での、健全な企業成長」に沿った考えなのだろう。貿易の分野もじっくり熟成することを期待したい。

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